レポート【注目業界】防衛産業の動向と展望(企業リスト掲載)

~世界的な軍事支出の拡大や輸出スタンスの変化により、拡大基調へ~

日本の防衛力は、憲法第9条のもと専守防衛を掲げ、「自衛のための必要最小限度のもの」という概念に基づいて整備されてきた。そのため日本の防衛産業は、厳格な輸出規制のもとで国内需要のみに依存するという、他国のそれとは大きく異なる特性を有している。

しかしその在り方は、近年の地政学的リスクの増大と世界的な軍事支出の拡大を受けて、転換点を迎えている。

ロシアによるウクライナ侵攻、インド太平洋地域における中国の台頭、北朝鮮の軍備拡張など、日本の安全保障環境はこれまでになく緊張を増している。そうした中で日本政府も防衛費の大幅な増額を決定し、防衛装備品の量的・質的強化を国策の一つに据えている。さらに、輸出規制の見直しや国際共同開発・輸出の拡充といった動きも加速しており、防衛産業に対する政策的支援はかつてなく強化されつつある。

この記事では、日本の防衛産業の概要、業界の成り立ち、市場動向、主要プレイヤー、業界を取り巻く環境、業界の課題、今後の展望について解説する。

まず、日本の防衛産業の特徴について述べる。次に、戦後の軍需産業の解体から再武装までの歴史を振り返り、現在の防衛装備品産業の形成に至る過程を解説する。

市場動向では、世界的な軍事支出の増加と日本の防衛予算の拡大について触れ、地政学的リスクの高まりがもたらす影響を分析する。

また、関連法制度のアップデート、行政組織の再編、新たな防衛技術・コンセプトの導入など、業界を取り巻く環境の変化について述べるとともに、コスト構造や収益性、サプライチェーン脆弱性、国際共同開発の経験不足など、業界が直面する課題について考察する。

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