レポートパチンコホール経営法人の実態調査(2024年)
「パチンコホール」 経営法人数の減少傾向続く 収益確保も道半ば ~事業環境の厳しさは変わらずも コロナ禍以降の収益低迷期は脱出か~
SUMMARY
2024年にデータベースに登録のあるパチンコホール経営法人は1201社となり、前年から10.1%減少。総売上高は11兆7133億円と、前年から5.0%増加し、過去10年で初の前年比増。コロナ禍で大幅に落ち込んでいた来客数が、パチスロ人気などを背景に戻ってきたことなどが要因となった。しかし、2015年からの10年間で10兆円以上減少しており、パチンコホールは今後も淘汰が進むとみられ、中小のホール経営業者にとっては厳しい業界環境が続くだろう。
株式会社帝国データバンクでは、企業概要ファイル「COSMOS2」(149万社収録)の中から、2015年~2024年の各年において業績が判明している「パチンコホール経営法人」を抽出。法人数や売上高合計、損益について調査・分析した。前回は2024年6月19日に発表。
総売上高は過去10年で初めて増加も、法人数は減少続く
2024年にデータベースに登録のあるパチンコホール経営法人数は1201社となった。2023年より135社(前年比10.1%減)少なく、2015年の2618社から10年間で1417社(54.1%)減少した。
総売上高は11兆7133億円となり、対前年比で5.0%増加した。総売上高が前年を超えたのは過去10年で初めて。コロナ禍の2021年には、休業要請等により対前年比23.6%の大幅減少となったが、経済活動が回復するにつれて減少幅は縮小してきた。なお、総売上高は10年前の2015年からは10兆円以上減少している。
社数が減少するなか、総売上高が前年を上回ったのは、店舗の売却・買収が進み運営法人の淘汰が進むなか、2022年に登場した従来のメダルを使用しない「スマートパチスロ(スマスロ)」の存在が大きい。特にかつての大ヒットシリーズのスマスロバージョンがリリースされたことで、ホールから離れていた層を一定数呼び戻すことに成功した。また、スマスロが既存台(6号機)より出玉性能が高いほか、演出も凝るなどゲーム性があることも好調の要因の一つとなった。
パチンコホール経営法人数および総売上高推移

黒字企業割合は6割超、コロナ前に迫る
2024年に損益が判明したパチンコホール経営法人445社の損益状況を分析した結果、黒字企業の割合は64.5%であった。コロナ禍で業績が悪化し、2021年には約6割の法人が赤字となっていたが、業績は徐々に回復し、2年連続で黒字企業が過半数に達した。しかし、2020年の黒字企業割合72.9%には及ばず、M&Aや廃業などでパチンコホール経営法人の淘汰が進むなかでも、赤字を余儀なくされている中小ホールが一定数存在するなど、引き続き業界環境には厳しさもうかがえる。
損益状況分析

M&Aが進む一方、倒産は落ち着く
2024年のパチンコホール経営法人の倒産は23件となり、前年(24件)からわずかに減少した。2010年以降、30件を下回る水準が続いていたが、2022年には30件を超えたほか、翌2023年にはパチンコホール運営大手の「ガイア」が民事再生法の適用を申請。ぱちんこ業界のさらなる事業環境の悪化が懸念されていた。しかし、2024年は前年を上回ることはなく、さらに2025年は5月までで6件と減少傾向で推移している。これは、廃業やM&Aにより淘汰が進んだ結果といえる。
この20年、ぱちんこ業界はファン離れが進んできた。業界としても様々な対策を打つことでイメージアップに努め、2024年は人気台リリースにより離れていたファンが戻ったことなどで総売上高を伸ばした。しかし、業界再興にはほど遠く、地道な活動によるファン層の拡大が必要不可欠だが、コアなファンを呼び戻すことが回復の近道であることも違いない。そのためには、プレイヤーから敬遠される大きな要素である「“出ない”ホールが多いこと」をどう解消するかが重要となる。もちろんホールごとの経営努力も必要だが、業界として、メーカー、ホール、プレイヤーそれぞれがメリットを感じることのできる「三方よし」の体制を再構築し、中小ホールにおいても集客を伸ばす環境をどう整えていけるかがカギとなるであろう。
「パチンコホール経営法人」倒産件数と負債総額の推移


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