レポート「飲食店」の倒産動向調査(2024年)

2024年の「飲食店」倒産894件、過去最多を更新~業態別では「居酒屋」が最多~

2025/01/14
倒産・休廃業  サービス

2024年の飲食店の倒産が過去最多となった。2024年の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は894件で、前年(768件)比で16.4%増加。2020年(780件)を上回って過去最多を更新した。

負債規模別にみると、「1000万~5000万円未満」が692件(構成比77.4%)で最多となり、「1億~5億円未満」(93件、同10.4%)、「5000万~1億円未満」(92件、同10.3%)が続き、1億円未満の小規模倒産が784件(同87.7%)と9割近くを占めた。一方で、10億円以上の倒産は6件(同0.7%)にとどまった。負債額最大は、ビヤレストラン、ビヤホールを展開していたアサヒフードクリエイト(株)(東京、7月、特別清算)の約89億9726万円。

コロナ関連の資金繰り支援終了と物価高で倒産は急増

新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言が発出された2020年に780件まで増えた飲食店の倒産は、コロナ禍のゼロゼロ融資や休業・時短営業に伴う協力金など、国や自治体の各種資金繰り支援策により、2022年には452件まで抑制された。

しかし、その後は各種支援策の縮小・終了やゼロゼロ融資の返済開始、急速に進行した円安を背景とした物価高の影響により、資金繰りに行き詰まる小規模の飲食店事業者が増加した。さらに、コロナ禍からの経済回復により幅広い業態で人手不足となり、人材獲得のため賃上げなどの人件費負担の増加もネックとなっていた。

11業態中5業態で過去最多

業態別(11業態)でみると、最も多かったのは居酒屋を主体とする「酒場、ビヤホール」(212件)で、ラーメン店などの「中華料理店、その他の東洋料理店」(158件)、「西洋料理店」(123件)が続いた。これら3業態に加え、「そば・うどん店」(27件)、お好み焼き屋やハンバーガー店が含まれる「その他の一般飲食店」(65件)の5業態で過去最多を更新した。

また「バー、キャバレー、ナイトクラブ」(93件)、「日本料理店」(77件)を加えた7業態で前年を上回る件数となった。特に、「中華料理店、その他の東洋料理店」では、ラーメン店の倒産急増などに伴い、前年(109件)に比べて49件(45.0%)も多く、大幅な増加となった。

物価高は当面続くと考えられるが、大手クラスではコスト削減や価格転嫁により業績が改善したり、地域ニーズに合わせた既存店舗のブランド転換による差別化を図ったりしている企業もある。しかし、大半を占める小規模事業者では、原材料や光熱費など各種コストの上昇や、人手不足による人件費の負担が増える中でも、消費者の節約志向により値上げを躊躇し、収益改善が遅れて厳しい資金繰りが続いているケースが多い。このため、中小クラスを中心に競争力に劣る事業者の倒産や休廃業は高水準で推移するとみられる。

250110_「飲食店」の倒産動向調査(2024年)

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