レポート

「建設業」の倒産動向(2025年)

建設業の倒産、 過去10年で最多 12年ぶりに2,000件超え

SUMMARY

2025年に発生した「建設業」の倒産は、前年比6.9%増の2,021件となった。2000年以降では初となる4年連続での増加となり、過去10年では最多。また、2013年(2,347件)以来12年ぶりに2,000件を超えた。背景には人件費の急騰や工期の延長、建材価格の上昇など積み重なるコストアップ要因に、価格(請負単価)の転嫁が追い付いていない現状がある。多重化する委託―受託構造や人手不足・高齢化など、将来に向けて構造的な改革も求められる。

株式会社帝国データバンクは「建設業」の倒産動向について調査・分析を行った。

集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日まで

集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産

人手不足や積み重なるコストアップで疲弊

 2025年に発生した「建設業」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、前年比6.9%増の2,021件となった。2000年以降では初となる4年連続の増加となり、過去10年では最多。また、2013年(2,347件)以来12年ぶりに2,000件を超えた。

 倒産の増加が続く背景としては、人手不足に伴う人件費の急騰や工期の延長、物価高による建材価格の上昇など積み重なるコストアップ要因に、価格(請負単価)の転嫁が追い付いていない現状がある。大まかな市況としては、マンション開発や住宅・インフラ修繕、製造設備工事など一定量の需要はあり、業態に差はあるものの受注環境にさほど苦しさは見られない。倒産企業の中にも近年は売り上げを伸ばした業者も多数確認された。しかしながら、上述の要因から手元資金に余裕がなく、増収であるからこそ増大する運転資金需要に対応できなかったケースも多く、倒産件数を押し上げている。

個別の倒産要因を分析すると、人手不足を直接的な要因とした「人手不足倒産」は、前年の99件から113件に増加。「物価高倒産」は240件と、鋼材や木材価格の上昇に一服感が出たこともあって前年(250件)を下回ったものの、200件を大きく超え、過年度に比べて高水準で推移している。また、「経営者の病気、死亡」を主要因とした倒産も78件判明。前年の77件を上回り、2000年以降で最多となった。『全国「社長年齢」分析調査』(2025年3月、帝国データバンク)によれば、建設業における社長の平均年齢は60.3歳(2025年3月時点)と全体平均(60.7歳)を若干下回っているが、1995年比では+6.1歳と高齢化の度合いは「不動産業」(+6.3歳)に次いで2番目に大きい(全体平均は+5.3歳)。建設業就業者の高齢化が叫ばれて久しいが、倒産に直結する経営者の高齢化への対応も課題だ。

リーマン・ショック以降、国内企業全体では金融円滑化法やコロナ禍でのゼロゼロ融資などで政策的に倒産が抑制され、デットガバナンスの緩みがゾンビ企業を生む構図となってきた。建設業では、他業種よりもコストアップ要因が重なりやすい業態特性により倒産増加が続き、インフレ経済が進行する過程では、今しばらく苦戦が続くものと考えられる。

9地域中6地域で増加、零細業者の苦戦目立つ

地域別にみると、9地域中6地域で倒産が増加した。過去5年でみれば、全地域で高水準が続いており、特に「中国」(120件、前年比18.8%増)と「中部」(291件、同17.8%増)での増加が目立った。一方で、札幌での再開発や半導体製造設備などの大規模計画が継続的に進んでいる「北海道」では前年比19.4%減の50件にとどまったほか、同じく半導体工場関連の需要が底堅い「九州」(163件、同3.6%減)、能登半島地震の復興工事などが進む「北陸」(71件、2.7%減)も若干ながら減少した。

負債規模別でみると、「5000万円未満」が最も多く、構成比では57.7%(1,167件)を占めた。半面、「10億円以上」は同0.7%と少なく、人手が確保できる、あるいは選別受注で相応の利幅が確保できる中堅規模の業者に比べ、中小・零細業者の苦戦が鮮明化している。

業歴別にみると、構成比が最も多いのは「30年以上」で全体の30.5%(617件)を占め、近年はおおむね3割程度で推移している。一方で、増加基調にあるのは「5-10年未満」で、2025年は構成比22.8%(460件)となり、2021年比では8.6ポイント上昇している。創業間もない時期にコロナ禍を経験し、経営体制の整備や財務面の蓄積が進まないなかで、物価や人件費の急騰にさらされ支え切れなくなった業者が多いとみられる。

業態間の差異大きく、「とび工事業」などは過去最多

業種細分類別にみると、建物や土木施設などの完成を請け負う総合工事業(「一般土木建築」「土木」「造園」「建築」「木造建築」が該当)では、過去20年のスパンで俯瞰すると総じて倒産は低水準にとどまっている。リーマン・ショック期の業界不振がいかに大きかったのかが分かるが、近年はインフラ修繕工事など底堅い官需が支えている。ただし、「木造建築工事業」は、住宅価格の上昇などを背景に戸建ての着工戸数が減少しているほか、4号特例の緩和により工期が延び資金繰りが悪化するなど苦戦も聞かれる。

一方で工程の一部を請け負う職別工事業や設備工事業では、細分類によって傾向に差異がみられる。特に、労働集約型の色が濃い「とび工事業」「はつり・解体工事業」では、人手不足や人件費などのコスト上昇を背景に倒産が急増。「塗装工事業」や「防水工事業」、「機械器具設置工事業」なども、リーマン・ショック期を上回り、2000年以降で最多となった。

Contact Usお問い合わせ先

担当部署

株式会社帝国データバンク 情報統括部 TEL:03-5919-9341 Email:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp