< 2013年10月の動向 : 上昇している >
2013年10月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.7ポイント増の46.8となり、4カ月連続で改善した。2006年5月(47.0)以来7年5カ月ぶりの水準で、過去7番目の高さとなった。
政府が2014年4月からの消費税率引き上げを決定したなか、住宅関連の需要拡大は続き、建材・家具や建築サービスをはじめ、太陽光発電設備・設置工事を含む「太陽光発電」が過去最高を更新するなど関連業種の改善を促している。また、懸念された米国の財政問題も期限間際で合意し最悪の事態を回避した。公共投資や民間投資を中心に『建設』『製造』『卸売』『サービス』など10業界中7業界が改善した。地域別では全10地域が改善し、『北海道』『東北』など地方圏を中心に6地域が過去最高となった。規模別でも「大企業」と「小規模企業」が2カ月連続で過去最高を更新しており、大企業だけでなく中小零細企業や地方にもアベノミクス効果の波及がみられた。
全国6地域が過去最高を更新するなど、国内景気の上昇は地方経済にも浸透している。
■調査結果のポイント
- 『製造』は住宅販売やオフィス家具販売などの増加を受けた「建材・家具、窯業・土石製品製造」、火力発電設備や自動車生産などが好調だった「鉄鋼・非鉄・鉱業」など12業種中9業種が改善した。
- 『サービス』は4カ月連続で改善し、6年6カ月ぶりに判断の分かれ目となる50を上回った。「リース・賃貸」「メンテナンス・警備・検査」「専門サービス」が過去最高を更新したほか、建設業界や自動車業界向け人材派遣の好調も目立った。
- 地域別では、『北海道』『東北』『北陸』『中国』『四国』『九州』の6地域が過去最高を更新するなど、全10地域が改善した。『中国』は10地域中最大の改善幅となった。60年ぶりの出雲大社大遷宮による観光客増や好調な自動車販売などが寄与した。
< 今後の見通し : 上昇が持続 >
2014年4月の消費税率引き上げに向けて、設備投資や賃上げに対する法人税減税などの各種政策、各企業の対応が景気を左右するとみられる。また、成長戦略の目玉となる法人実効税率の引き下げでは企業の約5割が引き下げ分を人的投資や資本投資など積極な投資に使うと考えており【「法人課税の実効税率に対する企業の意識調査」(2013年9月調査、帝国データバンク)】、非製造業も含めた設備投資の増加や賃上げが期待される。さらに、海外からの日本市場への投資拡大やインフラの再整備、ソフトウェア投資、円安の定着にともなう輸出や国内外からの観光客増加、東京五輪開催決定を受けた景気浮揚感の醸成によるマインド改善などが見込まれる。政府の財政再建への取り組みが緒についたことにより、長期金利の上昇圧力がやや弱まったことも好材料といえる。
今後は消費税率引き上げを控えているが、内外需とも底堅く、国内景気は上昇が続くとみられる。
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