厚生労働省の発表によると、2017年8月の有効求人倍率は1.52倍(7月と同数)と43年ぶりの高水準が続き、求人数は求職者数を大きく上回った。また、失業率(2.8%、同年同月)および完全失業者数も減少が続くなど、雇用環境は改善傾向が続いている。一方で、生産年齢人口は年々減少しており、企業における人材不足、人材獲得競争はさらに激しさを増すことが見込まれる。
そのため、企業には生産性の向上とともに、ダイバーシティ経営や働き方改革などをはじめとして、さまざまな人材が活躍できる組織作りがさらに重要になってくる。そうしたなかで特に、いわゆるシニア層といわれる60歳以降の人材の経験や技術・技能は、企業を支える重要な要素、戦力として注目されている。
「第1章 中小企業におけるシニア人材の活躍推進」では、シニア人材の雇用の現状と定着および活躍のポイントについて、帝国データバンクが実施した企業への各種アンケートによる実態調査の結果や、シニア人材が活躍する中小企業、支援機関への取材などから考察する。