レポート年明けから相次いで発覚する企業の不祥事

2007/01/12
ガバナンス  コラム

東麻布の宮

日興コーディアルグループの利益水増し問題に続いて、「ペコちゃん」で知られる大手菓子メーカー、不二家の賞味期限切れ牛乳使用問題が発覚。年明けから残念なことに企業のコンプライアンス(法令遵守)欠如が再びクローズアップされることになってしまった。


不二家の埼玉工場において消費期限を過ぎた牛乳を原料としてシュークリームを製造していたことが明らかとなり、その後アップルパイでも期限切れのリンゴ加工品を使っていたことも判明するなど、問題は広がる様相をみせている。食品メーカーの不祥事は一般市民への健康にも影響するだけに、事態はより深刻だ。


今回の不祥事は、洋菓子事業が4年連続営業赤字となるなど経営不振に陥っていただけではなく、長年の同族経営による社内のひずみが招いたとの指摘もある。不祥事が長年放置される管理体制と、不祥事を引き起こす企業風土に辟易しているのは、私一人だけではないだろう。上場企業として倫理観があまりにも欠如している。


このところコンプライアンス欠如の倒産が目立ってきており、中小・零細企業にとっては1つの不祥事が命取りになることも少なくない。だからこそ各企業ともコンプライアンスには特に注意しているのに、株式を上場している大企業がこのていたらくでは、ニッポン株式会社が海外から見捨てられてしまう日も遠くはないかもしれない。


こういった企業の不祥事は氷山の一角とも言われているが、同様のことがこれ以上ないことを願ってやまない。今回の問題を他山の石とはせず、これを機に各社ともいま一度、帯を締め直してもらいたいものだ。また、不二家には原因の究明、再発防止策の徹底だけでなく、不祥事を招く企業風土の改善にも取り組んでいただきたい。

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