レポート神奈川県・本社移転動向調査（2023年）

はじめに

神奈川県は長年、企業の転入超過状態が続いてきた。人気の高いみなとみらい２１地区を中心に近年は大手企業の転入が続き、今年はボッシュの横浜市北部エリアへの本社移転が予定されているほか、富士通の川崎市への本社機能移転も発表されている。コロナ禍を契機に場所にとらわれないビジネス環境の整備が進んだほか、昨今の各種コスト高も背景としてオフィスの「存在意義」が改めて問われるなか、神奈川県における企業の転入・転出の状況はどうなっているのだろうか。

■帝国データバンク横浜支店では、2023年までの本社所在地の「神奈川県への転入が判明した企業」や「神奈川県からの転出が判明した企業」を、自社データベース・企業概要ファイル「COSMOS2」から抽出。移転年別、転入企業の移転元、転出企業の移転先、業種別、年商規模別に集計した
■本社とは、実質的な本社機能（事務所など）が所在する事業所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースがある

調査結果

1.   2023年に神奈川県へ転入した企業は271社で、全国では東京都に次ぐ2位。転入超過は77社で全国トップ
2.   2014年～2023年の10年間に、神奈川県へ転入した企業は2525社、神奈川県から転出した企業は1917社判明。過去10年間の転入超過は608社で全国トップ。34年連続で県内転入が県外転出を上回っている
3.   神奈川県への転入企業の移転元は、2023・2022年ともに「東京都」が最多。神奈川県からの転出企業の移転先も、2023・2022年ともに「東京都」が最多
4.   業種別では、2023・2022年いずれも転入・転出ともに「サービス業」がトップ
5.   年商規模別では、2023・2022年いずれも転入・転出ともに「1億円未満」がトップ