■調査結果のポイント
- 自動車や家具類が好調な『小売』、ソフトウェア開発や建機リースなどの活況が続く『サービス』など、消費者関連業界で大きく改善した。また、脱デフレの兆候を捉えた企業による投資や、今後のインフレ期待により個人の投資物件の購入希望者が増加するなど『不動産』も改善した。
- 地域別では、『北陸』『中国』『四国』など7地域が50台となった。特に、自動車関連との関係が強い地域で製造や卸売、運輸・倉庫、小売の好調さが目立った。
- 「大企業」「中小企業」「小規模企業」の全規模で過去最高を更新した。また、不動産、小売、サービスなど企業規模にかかわらず消費者に近い業界がけん引した。
< 2014年1月の動向 : 景気の上昇基調を持続 >
2014年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.5ポイント増の50.0となり、2002年5月の調査開始以来、初めて判断の分かれ目となる50台に達した。
1月は米国の金融緩和縮小により新興国の株価や為替に影響を与えたことから、世界的に金融市場が混乱する場面もみられた。しかし、国内では新型車の投入で新車販売が好調だった『小売』のほか、企業による不動産投資の活発化や今後のインフレを予想する個人による投資物件購入などが堅調に推移した『不動産』、ソフトウェア開発の活況が続く『サービス』など、消費関連業界が好調に推移した。他方、『建設』は公共投資関連で工事の進捗の遅れや競争の激化などが重なったことで7カ月ぶりに悪化した。地域別では『北関東』『南関東』『近畿』を除く7地域が判断の分かれ目となる50台に達し、地方圏が主導する形で経済が上向いている様子が顕著に現れた。
国内景気は、『小売』や『サービス』など消費関連がけん引役となり、上昇基調を持続している。
< 今後の見通し : 上昇に力強さ >
今後の景気動向は、4月の消費税率引上げによる影響が現れるとみられる。また、米国の金融緩和縮小が新興国に与える影響を通じて海外経済の先行き不安が生じ、国内では株価や為替レートの動向もリスク要因となりうる。
好材料としては震災復興や東京五輪関連工事など公共事業だけでなく、民間企業によるIT関連などの設備投資の増加も見込まれる。また、6月策定予定の新成長戦略で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や規制緩和などの経済活性化策も期待される。特に、経済団体で業績が回復してきた企業においてベースアップを含めた賃上げを容認する方針を示しており、今春闘でベアを要求するケースも出ている。そのため、正社員の不足感が増しているなか、賃金上昇を通じた自律的な脱デフレの動きが見込まれ、消費税率引上げによる個人消費の反動減に対して下支えの役割を果たすと予想される。
国内景気は、消費税増税のショックで一時的に落ち込むものの、上昇基調は持続するとみられる。
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