レポート九州北部豪雨に関する被災地企業の営業実態調査

被災地企業の97.4%が通常営業に復帰 ~ 豪雨被害による「廃業」意向は確認されず ~

はじめに

7月5日から6日にかけて福岡・大分両県を中心とする九州北部で発生した「平成29年九州北部豪雨」から2カ月が経過した。政府は8月に入り、福岡県朝倉市、東峰村、添田町、大分県日田市の4市町村を、道路や堤防などの公共土木施設の復旧を支援する「局地激甚災害(局激)」の対象として指定したが、今もなお、被災地では住民が不自由な生活を余儀なくされているうえ、土砂やがれき、流木の撤去も難航しており、復旧・復興には長期を要する見通しだ。

そうしたなか、本社や工場、設備などが水害に遭うほか、顧客となる住民が避難生活を送っているなどで経営に支障が生じている中小企業も少なくない。既に、豪雨発生を起因とする関連倒産も発生しており、被災地企業の現状および今後の動向にも関心が寄せられている。

そこで帝国データバンク福岡支店では、企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)から、中小企業支援に関して局激の指定を受けた福岡県朝倉市および東峰村に本社を置く629社を抽出。現在の営業状況のほか、豪雨による被害状況などを電話により調査・取材した。

調査期間は2017年9月1日~7日。調査対象は、豪雨発生以前の廃業や移転、豪雨発生以後の倒産が判明した7社を除く622社で、有効回答企業数は456社(回答率73.3%)。

調査結果

  1. 現在の営業状況は「通常営業」が456社中444社(構成比97.4%)にのぼった。一部または全部が休業状態となっているのは12社。「廃業」に至った企業はゼロだった
  2. “業績に影響を及ぼす”被害が456社中144社(構成比31.6%)に発生していた。地区別では、旧・朝倉町、旧・杷木町エリアおよび東峰村で被災企業の割合が高い
  3. 被害・影響の内訳は『本社・工場など家屋への被害』が構成比30.6%(複数回答)で最多。豪雨後の売り上げ減少を訴える声も多くあがった
  4. 地域経済の早期復旧に向けて必要な支援策は、「補助金・助成金制度の拡充」、道路をはじめとする「インフラ整備」、土砂や流木除去に向けた「人手確保」に関する声が多くあがった
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