レポート2017年2月の景気動向調査

製造業の改善が国内景気押し上げる ~ 海外リスク抱えながらも、緩やかに回復続く見込み ~

2017/03/03

■調査結果のポイント

  1. 2月の景気DIは前月比0.2ポイント増の45.4となり、2カ月ぶりに改善した。人手不足で企業のコスト負担は増したものの、自動車販売および同部品輸出の好調が関連業種に広がったほか、半導体製造装置の好況や建設機械の持ち直しを受け製造業が改善、景況感は回復傾向が続いた。今後の景気は、米国などの海外リスクを多数抱えながらも、緩やかに回復が続くことが見込まれる。
  2. 『不動産』『小売』『製造』など7業界が改善、『運輸・倉庫』など3業界が悪化した。自動車販売に加え、同部品輸出が好調に推移するなか、機械や化学品など関連する部品製造業種が改善する要因となった。不動産需要の高まりで地価の上昇が地方都市へと拡大する一方、人手不足は広範囲に広がっており、企業のコスト負担を押し上げる要因が続いている。
  3. 『北海道』『南関東』『九州』など10地域中7地域が改善、『東北』『北関東』『北陸』の3地域が悪化した。公共工事の増加が地方の景況感を押し上げたほか、『南関東』では中古住宅市場の活発化が目立った。


< 2017年2月の動向 : 回復傾向続く >

2017年2月の景気DIは前月比0.2ポイント増の45.4となり、2カ月ぶりに改善した。

注目されたトランプ大統領就任後初の日米首脳会談において、通商や為替分野で踏み込んだ発言はなく、当初の懸念はひとまず遠のいた。2月の国内景気は、広範囲におよぶ人手不足に加え、原油価格の上昇や円安を受けて企業のコスト負担が増したものの、自動車販売および同部品輸出の好調が化学品などの関連業種に広がったほか、半導体製造装置の好況や建設機械の持ち直しといった製造業の改善が、景況感全体を押し上げた。

国内景気は、好調な自動車関連や機械製造などにより製造業が改善したことを受けて、回復傾向が続いた。

< 今後の見通し : 緩やかな回復続く >

今後の国内景気は、どの程度実質賃金が上昇し、個人消費の押し上げにつながるかがポイントとなる。賃金へのプラス材料は、良好な雇用環境や働き方改革の推進に加えて、企業業績の改善による賃金アップに向けた動きの本格化などが期待される。また、中国経済の持ち直しなど世界経済の回復を背景とした好調な輸出や、人手不足に対応する省力化投資など、設備投資が増加することが予想されるほか、2016年度補正予算の執行による公共工事増加もプラス要因となるだろう。他方、海外において、保護主義の色合いが濃い米政権の通商政策や欧州政治の混乱などの政治リスクを抱えていくことは懸念材料といえよう。

今後の景気は、米国などの海外リスクを多数抱えながらも、緩やかに回復が続くことが見込まれる。

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