< 2013年4月の動向 : 緩やかに上昇 >
2013年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.1ポイント増の42.4となり、5カ月連続で改善した。
アベノミクスへの期待で企業心理が改善するなか、4月4日に日本銀行が大規模な「量的・質的金融緩和」を決定したことで、日経平均株価は13,926円(4月25日終値)に上昇、為替レートも一時1ドル=99円94銭(4月11日、東京市場)まで円安が進んだ。さらに、金利も一段と低下しており、『不動産』や『製造』など10業界中8業界、51業種中38業種が改善した。
国内景気は、景気対策による後押しを受けながら緩やかに上昇を続けている。
・『不動産』、市場環境が上向き、前年比10.6ポイント増と大きく改善
金融緩和の実施により不動産への投資意欲の高まりで不動産市場の環境が改善しているほか、消費増税前の駆け込み需要もあり、5カ月連続で改善した。特に、1年前と比較すると、10.6ポイント増と大きく改善している。
・『建設』、4カ月連続で改善したものの、改善幅は徐々に縮小
『建設』は、災害復旧工事がピークを迎えている『九州』や季節が春となったことで公共工事の発注が本格化し始めた『北海道』など10地域中8地域で改善した。一方、『東北』と『南関東』の2地域で悪化しており、全体の改善幅を抑制する要因となった。
・10地域中9地域が改善、『北関東』は自動車関連や首都圏向け建材が上向く
『北海道』や『北関東』など10地域中9地域が改善した。『北関東』は円高修正で自動車部品などの輸出企業の業況が回復している『製造』や首都圏の大型建築物件向けの建材が上向いた『卸売』など10業界中6業界が改善し、『南関東』『東海』『近畿』の三大都市圏とともに5カ月連続の改善となった。
< 今後の見通し : 緩やかな回復傾向が続く >
日銀による“異次元”金融緩和や公共投資の執行などが追い風となり、企業マインドの改善が期待される。さらに、消費税率引き上げを控えて、年度後半には駆け込み需要が国内需要を押し上げるとみられる。また、円安による輸出数量の増加や輸出採算の改善が次第に現れてくる。しかし、内需型の製造業や非製造業は、円安による輸入価格の上昇で収益が圧迫される可能性がある。特に、電力・ガスなどの公共料金値上げでは、価格への転嫁力が弱い中小企業に対する悪影響が懸念される。
今後は、短期的な収益悪化要因がみられるものの、企業活動におけるプラス材料は多い。景気予測DIは「1カ月後」、「3カ月後」、「6カ月後」といずれも改善すると見込まれ、
国内景気は緩やかな回復傾向が続くとみられる。
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