レポート2013年5月の景気動向調査
景気DIは43.0、前月比0.6ポイント増と6カ月連続で改善 ~ 国内景気は、「大企業」と「中小企業」の規模間格差の拡大をともないつつ、緩やかな上昇が持続 ~

< 2013年5月の動向 : 緩やかな上昇が持続 >
2013年5月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント増の43.0となり、6カ月連続で改善した。
株式市場では5月23日に日経平均株価が前日比1,143円安となるなど乱高下があったものの、月間を通してみれば円安・株高の傾向が続いた。さらに、2012年度補正予算の執行本格化やゴールデンウイーク中の天候に恵まれ国内旅行が増加したこともあり、『建設』『運輸・倉庫』『小売』など10業界中8業界、51業種中29業種が改善した。
国内景気は、「大企業」と「中小企業」の規模間格差の拡大をともないつつ、緩やかな上昇が持続している。
・「大企業」と「中小企業」の規模間格差が調査開始以来で最大
「大企業」(46.4)、「中小企業」(42.0)、「小規模企業」(41.6)は、6カ月連続で全規模が改善した。しかし、大企業ほど改善幅は大きく、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は4.4ポイントとなり、調査開始以来で最大の格差となった。景気は上昇を続けているが、「中小企業」へはアベノミクス効果が十分に浸透していないという声も多い。
・『運輸・倉庫』、2007年10月以来の水準に回復
『運輸・倉庫』は、公共投資や輸出、通信販売の増加により物流需要が拡大したほか、ゴールデンウイーク中の国内旅行の好調で旅客運送が改善したこともあり、2007年10月(42.7)以来の水準に回復した。しかし、4カ月連続で全体を下回る水準が続いた。
・10地域中8地域が改善、調査開始以来で初めて全10地域が40を上回る
『東海』『北関東』など10地域中8地域が改善した。『東海』は、円安で機械や自動車関連が改善した『製造』や、生産増大にともなう物流量の拡大で5年7カ月ぶりに50を上回った『運輸・倉庫』などが改善し、全国10地域中第2位に上昇した。また、『北関東』が41.4となり、調査開始以来、初めて10地域すべてが40を上回った。
< 今後の見通し : 緩やかな回復が続く >
緊急経済対策による公共投資の執行が夏場にかけて本格化するほか、夏のボーナスが3年ぶりに増加するとみられるなど、所得環境の好転を背景とした消費マインドの改善が見込まれる。また、消費税率引き上げを控えた住宅投資など耐久財の駆け込み需要のほか、6月公表の成長戦略の実施が期待される。さらに、輸出は円安にともなう数量面の効果が次第に現れてくるとみられ、内外需ともに期待先行から実需に移行する。
しかし、企業の半数が電気料金値上げ分を販売価格にまったく転嫁できないと考えており【「電気料金値上げに対する企業の意識調査」(2013年4月調査、帝国データバンク)】、円安による素材価格の上昇と相まって企業収益の圧迫が懸念される。また、徐々に上昇している長期金利の動向にも今後、留意が必要である。
期待から実需へと景気を支える要因が移行すると見込まれるなかで、景気予測DIは小幅ながら改善を続け、
国内景気は緩やかな回復が続くとみられる。
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