レポート【福島県】企業「後継者不在率」動向調査(2021年)
県内の事業承継問題、コロナ下で大幅改善 ~「同族承継」型の就任割合は増加傾向ながら、脱ファミリーの動きも継続 ~
はじめに
地域の経済や雇用を支える中小企業において、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。
後継者が不在であるなか、新型コロナウイルスによる業績悪化などが追い打ちとなり事業継続を断念する事例も想定され、その回避策として事業承継支援が今まで以上に注目されている。中小企業庁が2017年7月に打ち出した、事業承継支援を集中的に実施する「事業承継5ヶ年計画」を皮切りに、中小企業の経営資源の引継ぎを後押しする「事業承継補助金」の運用、経営・幹部人材の派遣、M&Aマッチング支援など、円滑な事業承継に向けたサポートが進んでいる。
■帝国データバンク郡山支店では、信用調査報告書ファイル「CCR」など自社データベースをもとに、2019年10月-2021年10月の3年間を対象として、事業承継の実態について分析可能な3430社(福島県・全業種)における後継者の決定状況と事業承継動向について分析を行った
調査結果
- 2021年の福島県の全業種約3430社における後継者動向は、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が1860社であった。この結果、福島県の後継者不在率は54.2%となり、20年の不在率64.1%から9.9ptの改善、調査を開始した11年以降で最低となった
- 業種別では、全業種で前年を下回り、全業種ともに過去最も低い。2021年の不在率が高いのは不動産業(60.9%)、前年は70.0%であったが、70%割れとなった
- 先代経営者との関係性(就任経緯別)をみると、2021年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が51.8%に達し、全項目中最も高かった。2020年からは3.5ptの増加となり、親族間の事業承継割合は増加傾向をたどっている。全国で血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」が進んでいる中、福島県は変わらず「同族承継」が中心となっている
- 将来の後継候補が判明する後継者属性をみると、「子供」が最も高い46.4%で、前年から6.1pt減少した。他方、社内外の第三者である「非同族」を後継候補に位置づけているのは「内部昇格」と「外部招聘」、買収などを含む「その他」に多い
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