脱・属国
TDB景気動向調査による2009年4月の金融機関の融資姿勢DI(0~100で50を下回れば消極的、上回れば積極的)は46.3で前年同月(54.5)との比較では、その低水準ぶりが目につく。特に、小規模企業(42.9)は全体平均からさらに3.4ポイント下回る水準であり、厳しい資金繰り状況となっている。
2008年10月末からの緊急保証制度による保証承諾金額の2009年4月末までの累計が10兆円を突破したが、年末需要を迎えた2008年12月のピーク以降は大きな伸びは見られない。企業側からみた金融機関の融資姿勢DIを見る限り、その効果は存分に出ているとは言い難い。
それよりも「緊急保証制度の融資効果で倒産は小康状態であるが、景気が回復しているわけではないので、いずれ企業のキャッシュフローは厳しくなってくる」(事業者向け貸金業)と今後を懸念する声もある。
昨年からの金融危機からの保有株式下落による減損や与信関係費用の拡大により、メガバンクの2009年3月期決算は下方修正が相次いでいるなか、各行は新規の貸し出しよりも増資による資本増強を優先課題としている。
しかし、金融危機の悪影響による金融機関の資本強化の動きはメガバンクにとどまらない。地銀では、生き残りをかけた再編の動きが活発化している。
今後も地銀間での再編が進めば、必ず融資先企業の選別が始まる。選別は新たな倒産の増加となり、地域経済への悪影響が懸念される。
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。