レポート

GMとオーバーラップする百貨店業界

2009/07/03

Caddis

百貨店業界の売り上げ減少が止まらない。日本百貨店協会によると、2008年の全国百貨店売上高(店舗調整後)は前年比4.3%減となった。売上高の前年比マイナスは1997年から12年連続である。もともと消費者の百貨店離れが進んでいたのに加え、リーマン・ショックが襲った2008年後半以降は消費低迷が直撃、前年同月比を大きく割り込む月が続いている。直近の2009年5月の売上高も前年同月比12.3%減と2ケタを超える大幅なマイナスを記録した。


ここ数年、全国展開する大手百貨店各社は相次いで経営統合し、業界再編を進めている。しかし、コスト削減につなげるための不採算店舗の閉鎖など、守りの施策はみられるものの、売上拡大につながるような攻めの施策については、今のところ目立った効果がでているとは言い難い。


また、地方の百貨店は、北海道の老舗である丸井今井の倒産が象徴するように、大手以上に厳しい経営環境に置かれている。今後、地方の百貨店は大手の支援を受けるか、傘下に入るなど、単独での生き残りを諦めるケースが増加するだろう。


消費者の変化をとらえられず、高コストと指摘される経営体質の変革も怠たり不振を続ける百貨店業界の現状をみていると、破たんしたGMとオーバーラップしてしまう。今後も短期的には雇用・所得環境の悪化による消費の減少、中長期的には少子高齢化の進展など、百貨店業界にとって逆風が続くだろう。しかし、この不況下でも確実に消費者ニーズの変化をとらまえ、大きく売り上げを伸長させている小売業者も少なくない。


百貨店各社はこの大不況を変革の最後のチャンスととらえ、プライベート・ブランド商品の企画や価格の見直しなどを含め、これまで百貨店としてタブーとされているような事もゼロから見直すことで、消費マーケットの変化に対応した商品の品揃えに積極的に取り組んで欲しい。


百貨店の多くは駅前の好立地にある。特に地方では百貨店の倒産や店舗閉鎖によりその灯りが消えると、その町全体の景況感をも悪化させる大きな影響力を持つ。百貨店の灯りが消えることなく、いつまでも町を明るく照らし続けることができるよう、百貨店業界の復活に期待したい。

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