■調査結果のポイント
- 1月の景気DIは前月比1.2ポイント減の43.5となり2カ月連続で悪化した。年初から日経平均株価が大幅に下落しているうえ、中国の景気減速や設備投資の伸び悩みも重なった。国内景気は、生産活動の停滞に天候不順も加わり、悪化している。今後は、生産や消費に下振れ懸念があり弱含みで推移するとみられるなか、アベノミクス第二弾を後押しする政策パッケージの投入が求められる。
- 業界別では『建設』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』など9業界が悪化、『小売』の1業界が改善した。中国の景気減速が輸出や設備投資を停滞させ機械製造などの景況感を悪化させる要因となったほか、軽自動車の販売不振は関連する部品生産の減少をもたらしている。
- 地域別では、すべての地域が悪化した。公共工事の全国的な減少傾向に加え、1月前半までの少雪やその後の大寒波などの異常気象も響き景況感は大きく悪化した。輸出悪化に天候不順が重なった2014年8月以来、1年5カ月ぶりに全10地域が悪化、うち6地域は2カ月連続で悪化した。
< 2016年1月の動向 : 悪化している >
2016年1月の景気DIは前月比1.2ポイント減の43.5となり2カ月連続で悪化した。景気DIが1ポイント以上減少したのは、材料費などのコスト上昇で中小企業の収益環境が大きく悪化した2014年10月(1.0ポイント減)以来1年3カ月ぶり。
1月は、日経平均株価が年初から米国や上海株式市場の影響を受け大幅に下落、前年末比で一時3千円を超える安値となった。月前半は暖冬の影響を受けて季節商品や冬季レジャー施設が不振だった一方、後半は西日本を中心に記録的大寒波に襲われるなど、天候不順の影響を大きく受けた。また、軽自動車の生産減少により部品生産が悪化し、加えて中国の景気減速や設備投資の伸び悩みなどにも直面した『製造』が4カ月ぶりの悪化となった。さらに、公共工事の減少は中小企業の景況感を低下させ、地方の景気が停滞する要因となっている。
国内景気は、生産活動の停滞に天候不順も加わり、悪化している。
<今後の見通し : 生産・消費に弱含み懸念>
今後の国内景気は、家計の収入・支出が減少を続けているなかで、企業業績の改善にともなう賃金上昇や設備投資の動向がカギを握る。中国の経済減速や原油価格下落による資源国経済の低迷、米国の金利引き上げなど、海外を起因とする不安材料は多い。また、昨年夏以降、卸売・小売で在庫が積み増されてきており、在庫調整圧力が高まっていく可能性がある。他方、北海道新幹線の一部開通や東京五輪需要の本格化は好材料となるほか、住宅や高額耐久財などで駆け込み需要に期待がかかる。
今後の景気は、生産や消費に下振れ懸念があり弱含みで推移するとみられるなか、金融緩和や景気対策、消費税率引き上げ先送りといった、アベノミクス第二弾を後押しする政策パッケージの投入が求められよう。
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