はじめに
コロナ禍を境に企業の本社機能に関する考え方は大きく変化しているようだ。ライフワークバランス、ワーケーション、リモートワーク、ウェブ会議などといったワードが違和感なくビジネスの世界には浸透しており、働き方の変化は著しい。特に「本社」という機能が何を担い、社員やステークホルダーにどのような利便性や影響を与えるのか・・・例えば、東京に本社を置く意味や必要性が薄れてきている点はその最たるものだ。一方で地方が見直されている理由は、生産性は下がらず、むしろ向上するという結果が出ているからだ。この地方への移転・分散の動きが、地方活性化のための大きなファクターとなり得るものと考える。
そこで帝国データバンク宇都宮支店では、2023年に栃木県に転入した企業、転出した企業を中心に、本社移転がどのように進んでいるのか、またどのような業種や規模の会社が移転したのかなど分析を試みた。今回のテーマでのレポートは、2022年についで7回目である。
■本分析に用いるデータは、帝国データバンクが保有する企業概要データベースCOSMOS2をベースに、転入転出が判明した企業を抽出したもの。なお、実質的な本社機能が所在する場所をベースに集計しており、登記面本店とは異なるケースがある。また、県内から県内への移転はカウントに含まない
調査結果
- 栃木県内への転入企業は過去10年間(2014年~2023年)で225社、転出企業は195社。転入転出による増減は合計30社の転入超過であった
- 2023年の県内転入企業数は28社、県外転出企業数は10社で18社の転入超過となった。全国順位は第5位。ちなみに、隣接県の状況を見ると、茨城県が転入超過18社で栃木県と同数。群馬県が転入超過9社(全国第8位)。立地条件に恵まれている東京都に隣接する神奈川県、埼玉県、千葉県の3県が全国のベスト3となっており、東京都内から転出する企業の受け皿となっている印象だ
- 全国の本社移転の動向を見ると、各地方の中核都市である東京都(転出超過170社)、大阪府(同41社)、愛知県(同10社)などで転出が上回り、“脱東京”、“脱大阪”の傾向は顕著と言えよう。転入超過では、関東6県のほか、福岡県(転入超過19社)、兵庫県(同15社)、三重県(同9社)、静岡県(同8社)などが目立った
- 2023年に栃木県に転入した企業の業種を見ると、「サービス業」及び「製造業」が各9社でトップ、以下「小売業」4社、「卸売業」3社と続いた。また、転入企業の売上高規模を見ると、「1億円未満」が16社、「1~10億円未満」が8社と大半が中小企業であることがわかった
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