レポート2014年5月の景気動向調査

景気DIは46.2、消費税ショックから脱せず ~ 天候要因など想定外の状況により、反動減の影響が半年程度継続する可能性も ~

2014/06/04

■調査結果のポイント

  1. 全国の景況感は前月比0.6ポイント減となった。買い回り品業種など比較的低額の小売で反転したものの力強さに欠け、消費税増税ショックから脱せられなかった。
  2. 前月に消費税ショックが顕著に現れた『小売』は一転して改善し、飲食料品や服飾品、日用品などの業種が上向いた。他方、自動車や家電などの高額品は販売価格の下落などもあり依然として厳しい状況が続いた。
  3. 地域別では、『北関東』のみ改善し西日本での悪化が目立つが、景気の地域間格差は縮小する傾向が定着してきた。規模別では、中小企業での人手不足や資材費の高騰、増税分の価格転嫁が不十分な企業もあり、大企業より景況感の改善が遅れている。

< 2014年5月の動向 : 消費税ショックが継続 >

2014年5月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.6ポイント減の46.2となり、2カ月連続で悪化した。

5月は、前月の消費税率引上げにともなう駆け込み需要の反動減の影響が多くの業界で残った。最も大きなショックを受けた『小売』は飲食料品や服飾品、日用品などを中心に通常状態に戻りつつあるものの、高額品の在庫が積み上がるなど反動減から脱することができなかった。加えて、建材関連の製造や卸売の動きが停滞したこともあり、『卸売』『運輸・倉庫』の景況感が悪化した。また、「中小企業」での収益環境の悪化がみられたなかで、反動減によるショックからは「大企業」が先行して脱する兆しが現れた。地域別では10地域のうち『北関東』のみ改善し9地域が悪化したが、アベノミクス効果が地方に浸透するなかで、景気の地域間格差は縮小傾向が定着してきた。

国内景気は、買い回り品小売など一部の業種で改善がみられたものの、消費税増税ショックから脱せられなかった。

< 今後の見通し : 緩やかに上昇 >

今後は消費税増税ショックから抜け出すことが重要となる。中小企業の設備投資意欲は依然衰えておらず、5.5兆円規模の経済対策などの企業向け対策のほか、現金給付措置や住宅ローン減税の拡充など消費者向け対策も実施される。また、2014年度業績は個人消費の影響を強く受けるとみられるなか、雇用環境の改善や夏のボーナスの増加を含めた賃上げの広がりが期待される。

他方、原油・素材価格の高騰や電気料金の値上げ、人手不足による労務費上昇などのコストアップ、中国経済の成長鈍化など海外需要の悪化、エルニーニョにより冷夏が予想されていることなどは懸念材料である。こうした要素を勘案すると、反動減による悪影響は半年程度続く可能性も見込まれる。

以上を総合的に判断すると、

今後の国内景気は、消費税ショックが継続する可能性もあるが、緩やかに上昇していくとみられる。

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