レポート栃木県内企業の価格転嫁に関する実態調査(2024年7月)

県内の価格転嫁率46.7%、過去最高値~「全くできていない」10.4%、「8割以上転嫁」21.6%~

2024/09/20
物価・価格  アンケート

9月4日に弊社が発表した「TDB景気動向調査(栃木県)2024年8月調査」によれば、景気DIは43.4と2カ月連続で改善し、栃木県の景況感は概ね「改善と評価する企業」と「悪化と評価する企業」が拮抗するニュートラルな状態に落ち着いている。企業マインドがやや上向いている要因は、インバウンド消費が活発な点や夏休み期間に入り個人消費が上向きに働いた点が大きいようだ。未だ物価高が続きコストは高い水準にあるものの、受注が順調に入っており、やや円高に振れつつある為替相場も景気を上振れさせている。

この状況下で、中小企業の業績を左右するのが「価格転嫁」ということになるだろう。国が主導し適正な価格での取引を推奨し、大手企業が積極的にそれに呼応する形で“価格転嫁に応じよう”とする姿勢は少しずつ顕在化しているようだ。円高基調と相まって原料価格が下がり、価格転嫁により販売価格が上がれば利益率の向上が鮮明となり、さらなる景気上昇機運が高まるものと見られ、その動向は非常に興味深いところである。

そこで、帝国データバンク宇都宮支店は、県内企業の価格転嫁の実態について調査を実施し、見解をまとめた。価格転嫁に関するレポートは2024年2月に次いで5回目である。

  • 調査期間は2024年7月18日~31日、調査対象は栃木県内企業380社で、有効回答企業数は144社(回答率37.9%)
  • 本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している

調査結果(要旨)

  1. 81.9%の企業で多少なりとも価格転嫁できている。価格転嫁率は46.7%と過去最高値
    自社の主な商品・サービスにおける、コスト上昇分の販売価格・サービス料金への転嫁について、『多少なりとも価格転嫁できている』栃木県内企業は81.9%で価格転嫁率は46.7%であった。2024年2月調査時の39.6%と比較すると、7.1ポイント上昇している。「すべて転嫁できている」企業は2.8%にとどまるが、「8割以上」18.8%、「5割以上8割未満」25.0%などが増加傾向を示した。「全く価格転嫁できない」は10.4%と減少した。
  2.  『卸売』『小売』で価格転嫁が進むも、『運輸・倉庫』『サービス』では低水準
    主要6業種の価格転嫁の状況をみると、価格転嫁率が高いのは『卸売』(58.7%)や『小売』(50.0%)。他方で、『運輸・倉庫』(15.0%)、『サービス』(37.1%)などでは低水準である。業態や品目、サービスの内容によって、格差はかなり大きいようだ。

詳細は以下のPDFをご覧ください

20240920_栃木県内企業の価格転嫁に関する実態調査(2024年7月).pdf

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