レポート2014年8月の景気動向調査

景気DIは46.2、全地域で悪化 ~ 国内景気は足踏み状態、先行きに慎重な見方も出始める ~

2014/09/03

■調査結果のポイント

  1. 8月の景気DIは前月比0.7ポイント減の46.2となり、3カ月ぶりに悪化した。輸出悪化で生産・出荷が伸び悩む一方で在庫が積み上がるなど、広範囲の業種で回復が遅れている。さらに生産コスト高が続いているなかで天候不順も重なった。そのため、国内景気は足踏み状態となっており、先行きに慎重な見方も一部出始めている。景気見通しはピークの3月以降、伸びが鈍化傾向にあり、景気上昇の勢いは弱まるものとみられる。
  2. 業界別では『農・林・水産』や『サービス』など10業界中8業界が悪化した。『製造』は海外需要の鈍化や中国での鶏肉問題が悪影響を及ぼした。また、『農・林・水産』は燃油や飼料価格高騰によるコスト高に加え、生産者米価の下落などが響いた。他方、『小売』は自動車など高額品が堅調で2カ月ぶりに改善した。
  3. 地域別では全地域が悪化した。台風が直撃した『四国』『近畿』では、農・林・水産やサービス関連などが悪化したことで特に低水準となった。逆に『東北』や『北陸』などは小幅悪化にとどまっており、地域間格差が4カ月連続で拡大した。

< 2014年8月の動向 : 国内景気は足踏み状態 >

2014年8月の景気DIは、前月比0.7ポイント減の46.2となり3カ月ぶりに悪化した。

8月は、西日本に人的・物的被害をもたらした台風や豪雨などの天候不順が農・林・水産やサービス関連に悪影響を及ぼした。また、『製造』ではけん引役として期待された輸出が中国やウクライナ情勢の影響を受けた欧州などの景気停滞もあり再び減少に転じ、生産・出荷が伸び悩む一方で在庫が積み上がるなど、広範囲の業種で回復が遅れている。他方、『小売』は自動車や家具などの高額品に加えて、雑貨などの少額嗜好品関連も改善した。規模別では3カ月ぶりに全規模が悪化した。特に「中小企業」では、小売や運輸関連が堅調だったものの、建設や製造が大きく悪化した。

輸出減少と生産コスト高が景気押し下げ要因となるなか、天候不順も加わり、国内景気は足踏み状態となっている。

< 今後の見通し : 景気上昇の勢い弱まる >

内需は、設備投資や建設関連が公共事業やオリンピック関連需要などで底堅いうえ、災害復旧の進展なども見込まれる。12月に判断される消費税率10%への引き上げに対しては、政策的な後押しのほか駆け込み需要も再び期待されるが、実質賃金低下による個人消費の下押し懸念は残る。外需は、ウクライナ情勢が輸出にマイナスの影響を与える懸念もあり、景気の先行きに対して慎重な見方も一部出始めている。総じて、

国内景気は上昇傾向にあるものの、景気の下押しリスクも顕在化しつつある。景気見通しはピークの3月以降、伸びが鈍化傾向にあり、景気上昇の勢いは弱まるものとみられる。

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