レポート2017年9月の景気動向調査

国内景気は4カ月連続で改善、製造業が押し上げ ~ 建設業は「大企業」「中小企業」「小規模企業」のすべてで50を上回る ~

2017/10/04

■調査結果のポイント

  1. 2017年9月の景気DIは前月比0.7ポイント増の48.4となり、4カ月連続で改善した。国内景気は、輸出の拡大を受けた製造業が全体の景況感を押し上げたことに加え、株式相場の上昇や旺盛な建設投資もあり、回復が続いた。今後の国内景気は、設備投資の増加や個人消費回復など内需の好調を受けるかたちで、回復傾向が続くことが見込まれる。
  2. 『製造』『金融』『建設』『卸売』など9業界が改善し、『小売』が悪化した。自動車や機械関連、電子部品の輸出拡大を受け8カ月連続で改善した『製造』や『卸売』など4業界が、消費税率引き上げ後の最高を更新。株式相場の上昇がプラスに働いた『金融』や、大型工事案件がけん引役となった『建設』も改善した。
  3. 『北関東』『北陸』『九州』など10地域中9地域が改善、『北海道』が悪化した。10地域中8地域で消費税率引き上げ後の最高を更新した。公共工事のほか、好調な自動車や半導体、工作機械などが主力産業となる地域の改善が目立った。規模別では、3カ月連続で「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって改善した。


< 2017年9月の動向 : 回復続く >

2017年9月の景気DIは前月比0.7ポイント増の48.4となり、4カ月連続で改善した。

9月の国内景気は製造業がけん引した。アジア向け電子部品や機械、米国向けの自動車関連などを中心に輸出の増加が続き、『製造』が8カ月連続で改善した。輸出が一部の指標でリーマン・ショック前の水準を回復している。さらに、東証1部の時価総額が過去最高を更新するなど、株式相場の上昇を受けた取引額の増加が『金融』へプラスに働いた。『建設』は五輪関連や公共工事などの旺盛な建設需要を追い風に、「大企業」「中小企業」「小規模企業」のすべてが50台となった。

国内景気は、輸出の拡大を受けた製造業が全体の景況感を押し上げたことに加え、株式相場の上昇や旺盛な建設投資もあり、回復が続いた。

< 今後の見通し : 回復傾向続く >

好調な企業収益が続くなか、深刻化する人手不足を受けた省力化投資など設備投資の増加が、大企業を中心に見込まれる。また、堅調な雇用・所得情勢や消費マインドの持ち直しを受けて、個人消費が緩やかに改善するであろう。海外経済は底堅く推移し、輸出はこれからも堅調に推移することが予想される。一方で、欧米の金融政策の動向や北朝鮮情勢には注視する必要があろう。また、10月実施の総選挙の結果次第では、新たな経済対策の策定などにより景気の底上げが期待されるものの、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の延期が懸念される。

今後の国内景気は、設備投資の増加や個人消費回復など内需の好調を受けるかたちで、回復傾向が続くことが見込まれる。

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