レポート埼玉県・本社移転企業調査（2013年～2022年）

はじめに

コロナ禍を機に、東京などから地方へ本社を移転する「脱・首都圏」の動きが広がっている。リモートワークやウエブ会議システムの普及により、首都圏に本社を置いている必要性が薄れており、本社オフィスの存在意義も改めて問われている。従来に比べ、首都圏からの距離に縛られない移転も増えるなか、今後はさらに本社をはじめとしたオフィス移転の動きが活発化していくことが予想される。

帝国データバンク大宮支店は、2013年から2022年の10年間で都道府県をまたぐ本社所在地の移転（転入・転出）状況を、企業概要データベース「COSMOS2」（147万社収録）等から抽出。本社移転増減の都道府県別ランキングを作成し、あわせて、埼玉県の転入・転出企業数の推移、および、2022年単年の転入元や転出先、さらには業種、年商規模別の分析を行った。

■本分析に用いるデータは、帝国データバンク保有の企業概要ファイルCOSMOS2（2013年～2022年）をベースに、移転について確認できた年を企業移転（転入/転出）のタイミングとして扱っている。また、ここでいう本社所在地は、本社機能を有する事業所の場所を指し、商業登記の本店所在地と異なるケースもある

調査結果

1. 2013年から2022年の10年間に、他の都道府県から埼玉県へ転入した企業は2121社、埼玉県から他の都道府県に転出した企業は1553社判明。転入超過数は568社となり、全国ランキングでは神奈川県に次いで2位。2022年単年の転入超過数は埼玉県が68社でトップ
2. 各年でみると、埼玉県の転入超過数で最も多かったのは2021年の111社。最少は2015年の30社。2022年は転入超過数が2020年の水準に戻った格好
3. 2022年に埼玉県へ転入した企業の転入元は東京都が183社（前年比21社減）で最多。転出先も東京都が104社（同7社減）で最多となった
4. 2022年に埼玉県へ転入した企業を業種別にみると、最も多かったのはサービス業で64社（前年比13社減）。転出企業は建設業が34社（同13社増）で最多となった
5. 2022年に埼玉県へ転入した企業の年商規模別では、最も多かったのが「1億円未満」で98社（前年比33社減）。転出企業は「1－10億円未満」が62社（同2社増）で最多となった