はじめに
6月18日の改正貸金業法の完全施行から2ヵ月あまりが過ぎた。現状、表向きは一部で懸念された目立った混乱はないようにも見えるが、業界環境は依然厳しいままだ。日本貸金業協会によれば、6月の消費者向け無担保貸付の月間貸付額は前年同月に比べて32.6%落ち込み、調査開始以来で最大の減少となるなど、改正貸金業法の完全施行後のさらなる市場縮小が懸念される。
帝国データバンクでは、2010年8月時点の企業概要データベース「COSMOS2」などをもとに、2009年度(2009年4月期~2010年3月期)の営業収益(=売上高)が判明した貸金業者117社<営業収益1億円以上>を対象に(一部推定値含む)、営業収益総額の推移、営業収益・前期比較、損益状況を調査・分析した。
調査結果(要旨)
主要117社の2009年度の営業収益総額は1兆815億5000万円にとどまった。前年度比22.7%(3176億900万円)の大幅減少で、減少率は2期連続して20%を超え、2年前に比べ38.4%(6729億4100万円)も落ち込んだ。大手、中小を問わず、2010年6月の改正貸金業法の完全施行を前に、新規貸し出しの抑制や審査基準の厳格化の動きが広がり、貸付金利息収入が大幅に減少した。
営業収益上位10社をみても、10社すべてが2期連続で前年度を下回るなど業績悪化が続いた。直近2期の営業収益の比較が可能な102社をみると、2009年度の「減収」が85社(構成比83.3%)にのぼり、全体の8割超の企業が前年度の営業収益を下回った。一方損益面では、リストラ効果や貸出基準の厳格化に伴う焦げ付き減少などが寄与し、7割が「黒字」を確保した。

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