■調査結果のポイント
- 2月の景気DIは前月比1.2ポイント減の42.3となり3カ月連続で悪化した。建設需要の低迷や鋼材生産の大幅悪化に加えて、マイナス金利の実施が金融機関の景況感を大きく悪化させた。国内景気は、全国的に悪化している。今後の景気は低水準で推移するとみられるが、腰折れを回避するためにアベノミクスを一段と強化することが期待される。
- 業界別では『金融』『建設』『製造』『小売』など8業界が悪化、『農・林・水産』と『不動産』の2業界が改善した。『製造』では建設需要や海外需要の低迷が響き鋼材価格が安値をつけるなど、市況が悪化した。また、青果物向け段ボール箱の出荷減少や食品素材価格上昇によるコストアップも悪化要因となった。
- 地域別では、東日本大震災直後の2011年4月以来、4年10カ月ぶりに2カ月連続で全10地域が悪化した。6地域で1ポイント以上悪化しており、全国的に景気が大きく後退した。特に『東海』は、国内車両工場全ラインの稼働停止が域内経済に悪影響を及ぼし、域内4県すべてが悪化した。
< 2016年2月の動向 : 悪化している >
2016年2月の景気DIは前月比1.2ポイント減の42.3となり3カ月連続で悪化した。2月は、前月末に導入された日本銀行によるマイナス金利政策が実施に移されたなかで、金融機関の収益悪化予想にともない、長期金利の低下、預金金利や住宅ローン金利の引き下げなど、さまざまな影響が表れた。また、公共工事やマンション着工戸数の減少による建設需要の低迷や軽自動車生産の減少が長引いていることで、関連する鋼材生産の大幅悪化につながった。地域別では、国内車両製造ラインの停止が『東海』経済の悪化要因となったほか、7カ月連続トップとなった『四国』で景気停滞感が強まるなど、東日本大震災以来4年10カ月ぶりに全10地域が2カ月連続で悪化した。
国内景気は、全国的に悪化している。
< 今後の見通し : 低水準で推移 >
海外経済では、中国の経済減速や原油価格下落による資源国経済の低迷が長引くとみられるほか、米国は経済の勢いが弱く利上げの先送りが予想される。これら世界経済の下振れリスクの高まりは、金融市場の混乱などを通じて、企業や家計のマインドを萎縮させる可能性がある。また、国内経済では、公共工事の減少が地域経済を悪化させているなか、マンション価格の高騰や企業の設備投資意欲の減退は景気の重石になるとみられる。また、賃金の上昇圧力の弱まりとともに原油価格の下落はデフレからの脱却を遅らせる要因となろう。
今後の景気は低水準で推移するとみられるが、腰折れを回避するためにアベノミクスを一段と強化することが期待される。
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