レポート沖縄県　企業倒産予測値グレード分析

はじめに

2020年2月以降、沖縄県内において新型コロナウイルスの感染が拡大している。帝国データバンクが2020年7月に実施した調査では、沖縄県内企業の約70％が前年比減収となっていた。その後も、県独自の緊急事態宣言の発令などもあり、引き続き県内経済に対する影響が懸念されている。

一方で、国主導で企業に対する給付金や資金調達の支援があったため倒産などに直結するケースはまだ少ない。ただ個別企業に目を移せば、現在においても営業自粛を続け、事業活動を再開することができていない企業も散見され、現状耐え忍んでいる企業においては、今後資金繰りが悪化し、法的手続など倒産に向けた動きが加速する可能性は否定できない。

そこで帝国データバンク沖縄支店では、コロナ禍において企業の倒産リスクの変遷を捉えるため、2001年7月にサービスを開始した「倒産予測値」を用いて、沖縄県内に本社を置く算出可能な企業のグレード分析を実施した。集計データは2019年10月からの1年1カ月分を使用し、当該期間における算出企業数の平均は16,832社となっている。今回が初調査となる。

調査結果

1.   沖縄県の倒産予測値算出可能企業のうち、信用リスクが高い「G7～G10」に分布する企業は2,619社、構成比は15.6％。今月に入り、全国構成比15.2％と比べて高くなった。
2.   新型コロナウイルスの感染拡大後、信用リスクが高い企業は増加を続けている
3.   「G7～G10」に分布する企業を業種別にみると、「農林・狩猟・漁・鉱業」、「卸・小売、飲食店」、「サービス業」において信用リスクの高い企業が増加となった
4.   「G7～G10」に分布する企業を業種別にみると、「建設業」、「運輸・通信業」において信用リスクの高い企業が減少となった
5.   全体的に信用リスクの高い企業が増加傾向にあるため、今後法的手続などの倒産に向けた動きが加速する可能性が高い