はじめに
2008年9月に発生したリーマン・ショックは、大小問わず、多くの企業にとって経営環境の悪化を招いた。特に、中小零細企業の経営環境は厳しく、資金繰り支援のため2009年12月に「金融円滑化法」が施行された。以降、企業倒産は減少基調を示しており、倒産を回避するという点においては効果を示した。3月に同法が終了となるが、この間、企業の業績及び財務状況は改善しているのだろうか。
帝国データバンクは、総資本100億円未満の企業について、2008年3月期以降の企業財務諸表を規模別(総資本別)に分析した。
◆ 帝国データバンクの企業財務データベース「COSMOS1(69万社収録)」をもとに作成した「全国企業財務諸表分析統計」を活用し、分析した。
◆ 売上高経常利益率、自己資本比率、外部負債依存率、インタレスト・カバレッジ・レシオ、売上高増加率の指標に注目し、分析した。
調査結果>>
1.売上高経常利益率は、総資本「1億円未満」では、2008年3月期の▲0.56%から、2012年3月期は▲1.25%と悪化。
2.自己資本比率は、総資本「1 億円未満」が2012年3月期は▲5.07%とマイナス数値に陥るなど年々悪化しているのに対し、同「10億円以上100億円未満」は年々向上している。
3.外部負債依存率は、総資本「1 億円未満」で2008年3月期が49.42%に対し、2012年3月期は62.04%に上昇。一方、同「10億円以上100億円未満」は、2008年3月期の38.3%に対し、2012年3月期は37.49%と低下している。
4.インタレスト・カバレッジ・レシオは、2010年3月期は、どの資本規模群も軒並み悪化したが、総資本「1億円以上10億円未満」と同「10億円以上100億円未満」は、2008年3月期の水準を超えるまで回復。しかし、同「1億円未満」は、依然として回復途上にある。
5.売上高増加率は、他の指標と比べ唯一、いずれの資本規模群も改善傾向にある。なかでも、総資本「1億円未満」は、2008年3月期の8.05%に対し、2012年3月期は9.27%と高まった。

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