はじめに
現在、各国は法人税率の引き下げなど、税制から企業の競争力向上を支援する政策を打ち出している。政府は、働き方改革の推進や生産性向上に向けた税制改革にあたり、賃金や先進技術の投資を増やした企業に対して、負担額の軽減を図る法人税制を検討する一方、これらに消極的な企業に対する優遇措置の見直しなどの方針を掲げている。こうしたなか、2017年12月14日、与党は2018年度(平成30年度)税制改正大綱を公表した。
そこで、帝国データバンク大宮支店は、法人税改革に対する企業の見解について調査を実施した。
■調査期間は2017年12月18日~2018年1月9日、調査対象は県内947社で、有効回答企業数は369社(回答率39.0%)。
調査結果
- 法人税改革への認知度、「内容を含めて知っている」企業は4.9%。「概要のみ知っている」の64.8%と合わせると69.7%となり、企業の7割弱が少なくとも法人税改革の要旨を認知している。
- 今回の法人税改革を受けて、賃上げは企業の32.8%、設備投資は22.0%が「実施する(予定含む)」と回答。賃上げは従業員数6~300人以下の企業で3割超、設備投資は21人以上の企業で2割を超える。賃上げ・設備投資ともに検討中の企業も多いため全体の傾向は流動的だが、認知度が高いほど実施意向は高い。特に、資本金1億円以下で「内容を含めて知っている」企業では68.8%が賃上げを実施予定。
- 法人課税制度改革で政府に求める政策は、「法人実効税率の引き下げ」が49.3%で最も高い。次いで、「法人税減税」(36.3%)「税制の簡素化」(31.7%)が3割台、さらに「設備投資減税」(29.5%)「補助金や助成金の拡充」(27.6%)が続いた。他方、「法人実効税率の引き下げ」「外形標準課税の見直し」は大企業で高く、「法人税減税」「法人事業税減税」は中小企業で高かった。
- 今回の法人税改革による日本経済活性化への寄与では、「寄与する」と回答した企業が29.0%、「寄与しない」が20.9%でほぼ二分された。ただし、「分からない」が50.1%と半数にのぼり、多くの企業で日本経済全体に与える影響について判断しきれていない様子がうかがえる。
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