レポート人手不足の解消に向けた埼玉県企業の意識調査
人手不足の解消法、「職場内コミュニケーションの活性化」「賃金水準の引き上げ」がトップ ~ 積極的な人材活用、「女性」が3割を超える ~
はじめに
現在、就業者の増加傾向が続く一方で、2018年度の有効求人倍率は45年ぶりの高水準となるなど、労働需給のひっ迫度は増している。また、限られた人材の獲得に向けて企業間の競争が激化するなか、求職者にとっては就業機会の拡大や賃金の上昇など明るい材料としてとらえられる。人手不足による人件費の上昇が企業の収益環境に大きく影響する状況下、人材の確保や生産性の向上など、人手不足の解消に向けた取り組みは企業の喫緊の課題となっている。
帝国データバンク大宮支店は、人手不足の解消に関する埼玉県企業の見解について調査を実施した。
■調査期間は2019年8月19日~31日、調査対象は埼玉県内企業967社で、有効回答企業数は 387社(回答率40.0%)。
調査結果
- 従業員が「不足」している企業が半数超にのぼるなか、不足している部門・役割は、「生産現場に携わる従業員」(63.4%)が最も高く、「営業部門の従業員」(40.3%)や「高度な技術を持つ従業員」(36.1%)が続いた。
- 人手不足による影響は、「需要増加への対応が困難」が53.4%で半数を超えトップとなり、五輪関連などによる旺盛な需要が続く『建設』や、荷動きが活発な『運輸・倉庫』などで高水準となった。次いで、「時間外労働の増加」(30.4%)、「新事業・新分野への展開が困難」(29.8%)などが続いた。
- 企業において多様な人材を活用することが注目されているなか、今後最も積極的に活用したい人材は「女性」が31.8%で最も高く、「シニア」も27.9%と近い水準で続き、「外国人」は13.7%、「障がい者」は1.3%となった。
- 人手不足の解消に向けての取り組みでは、「職場内コミュニケーションの活性化」と「賃金水準の引き上げ」が38.2%でトップとなった。特に雇用で人手不足企業の数値が高く、人材の確保や定着に向けた方法として賃上げが重要視されている様子がうかがえる。次いで、「残業等の時間外労働の削減」(34.6%)が続いた。
- 人手不足の解消に向けて社会全体が取り組むべきことは、「職業教育・訓練制度の充実」と「通年採用の拡大」が38.2%でトップとなった。他方、「規制緩和の推進」は8.3%、「最低賃金の引き上げ」は5.7%と1ケタ台にとどまった。
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