レポート2014年7月の景気動向調査

景気DIは46.9、消費税ショックは底打ちも回復力弱く ~ 今後は実質賃金低下のリスクを抱えながら個人消費と設備投資がけん引する見込み ~

2014/08/05

■調査結果のポイント

  1. 7月の景気DIは前月比0.4ポイント増と2カ月連続で改善した。公共投資や設備投資が活発化したことで10業界中7業界が改善したが、改善の勢いは弱く全体的に伸び悩みの状況にある。消費税ショックの影響は底を打ったものの、国内景気上昇の勢いは緩慢な動きとなった。今後の国内景気は、賃金動向にリスクを抱えながら、個人消費と設備投資が両輪となり緩やかに上昇すると見込まれる。
  2. 『小売』は3カ月ぶりに悪化した。自動車や家電などの耐久財は反動減による落ち込みから上向いたものの、回復しつつあった個人消費は天候不順などの影響も受け生活必需品関連を中心に悪化した。
  3. 地域別では、製造業や公共投資が主要産業となる『北関東』『東北』で堅調な動きがみられるなど、概ね東日本で景気の回復がみられた一方、西日本では全国を下回る傾向となった。規模別では、生産設備向け設置工事や、人手不足から引き合いが活発な人材派遣などサービス関連を中心に「小規模企業」が4カ月ぶりに改善した。

< 2014年7月の動向 : 消費税ショックは底打ち >

2014年7月の景気DIは、前月比0.4ポイント増の46.9となり2カ月連続で改善した。

7月はインフラ投資や省エネ関連の設備投資が活発化した一方、生活必需品小売などが伸び悩んだ。また、西日本を中心とした台風8号による被害など天候不順も、消費税ショックから持ち直しつつあった個人消費に悪影響を及ぼす要因となった。ただし、自動車や家電などの耐久消費財は反動減による落ち込みから改善した。規模別では、人手が必要な建設やサービスが好調だった「小規模企業」が4カ月ぶりに改善した一方、不動産や住宅設備関連での悪化が響いた「大企業」は2カ月ぶりに悪化した。

消費税ショックの影響は底を打ったものの、景気上昇の勢いは緩慢な動きとなった。

< 今後の見通し : 緩やかに上昇 >

今後の景気は個人消費の回復、民間設備投資の自律的拡大に向けた動きが注目される。設備投資は老朽設備の更新需要や省力化のための機械化が進められるとみられるが、米国経済の好調に支えられ輸出主導による需要増加も予想される。また、消費税率10%への引き上げに向けて政策的に経済環境の整備を進める動きが年末にかけて実施されると見込まれるため、公共投資は今後も堅調な拡大が期待される。ただし、物価上昇が着実に進むなかで賃金が緩やかな上昇にとどまるならば、個人消費の勢いが削がれる可能性もある。総じて、

今後の国内景気は、実質賃金低下のリスクを抱えながら、個人消費と設備投資の両輪がけん引役となり、緩やかな上昇が見込まれる。

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