レポートSDGsに関する栃木県内企業の意識調査(2024年)

『SDGsに積極的』な県内企業56.3%~「啓蒙」の段階から「具体的成果求める」段階にフェイズ変化~

はじめに

2015年9月の国連サミットにおいて採択された世界共通ミッションSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)だが、定められた目標達成期限である2030年まで残り6年となった。国際的な専門機関「持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)」が発表した「持続可能な開発報告書2024」によれば、日本の達成度スコアは79.9で、167カ国中18位という評価であった。決して進捗が悪いわけではないが、17の幅広い目標のなかには、先進国ならではの厳しい課題も内包しており、政府のリーダーシップが問われている実情は否めない。特に進捗の遅れている中小企業や地方といったカテゴリーで国際的なアクションとどう折り合いを付け、成果として求めていくのか、これから正念場を迎えるこの取り組みの現在の動向は興味深いものがある。

そこで、帝国データバンク宇都宮支店では、現在のSDGsに関する栃木県内企業の見解について定点観測を実施している。本調査は、TDB景気動向調査2024年6月調査とともに行った。

■調査期間は2024年6月17日~30日、調査対象は栃木県内企業378社で、有効回答企業数は151社(回答率39.9%)。SDGsに関する調査は、今回で5回目である。

調査結果

1 『SDGsに積極的』な栃木県内企業は56.3%(「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」36.4%、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」19.9%)と、前年比で7.6ポイント下落した。経済活動が正常化するタイミングで、コスト高と企業間格差が影響していると目される。
2 『SDGsに積極的』な企業の規模別の状況は、「大企業」は82.6%と高い水準にあるものの、目標推進の大きな鍵を握る中小企業の状況は51.6%にとどまり、今後の課題と目される。
3 主要6業界の『SDGsに積極的』な企業の割合を見ると、『運輸・倉庫』100.0%、『製造』61.5%、『建設』60.6%などで全体を上回っているが、『小売』では46.7%にとどまり、業界間格差も見られる。
4 県内企業の注目項目は、現在も今後も「働きがいも経済成長も」がトップ、「気候変動に具体的な対策を」が続いた。持続可能な企業の成長と従業員の満足度向上は多くの県内企業の命題になっており、一方で変化の激しい気候変動を懸念する意識が高い様子が窺える。
5 SDGs推進による効果を尋ねると、「企業イメージの向上」が45.7%で最も高く、以下、「従業員のモチベーションの向上」31.9%の2項目が突出して高かった。また、DEIへの取り組みについて尋ねると、県内企業の22.5%が積極的と回答したものの、今後の課題も多いようだ。

20240816_SDGsに関する栃木県内企業の意識調査(2024年).pdf

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