はじめに
未曾有の大災害、「東日本大震災」の発生から10年を迎えた。栃木県はこの震災の被災県として見られることが少なく、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の4県とは一線を画する見方が多数を占めるが、実際の被災状況や、その後長らく続いた福島第一原発事故による風評被害などを見るにつけ、影響は極めて甚大であったと評せざるを得ない。近時の企業倒産を見ても、震災の一撃で大きく傾き、その後なんとか事業を継承しながらもついには力尽きて・・・というケースが今もなお散見される。県内企業にとっては、リーマン・ショックが癒える間もなく被災し、その後も重なる水害の発生、そしてコロナ禍と、まさに激動の10年を過ごしてきた。県内企業が、健やかなる発展と力強い躍進を遂げるためにも、どんな支援が必要で、国が講じる施策にはどういった方向性が重要なのか、震災から10年の節目を迎えて、改めて考える時期にきていると云えるのではないだろうか。
帝国データバンク宇都宮支店では、東日本大震災から10年を迎えるにあたり、直接的・間接的に震災が影響したことが倒産要因であると判明した企業倒産(負債1000万円以上、個人事業主含む)を「東日本大震災関連倒産」と定義し、震災発生直後の2011年3月から2021年2月末まで、10年間の倒産動向について調査を取りまとめた。
調査結果
- 栃木県内企業における、東日本大震災が発生した2011年3月から2021年2月までの10年のうち、震災被害が倒産の直接または間接的な要因となった「東日本大震災関連倒産」は97件に達した。負債総額は累計46億500万円となった
- 過去10年の発生うち、累計件数で最も多かった業種は「サービス業」の32件だった。以下、「製造業」が16件、「建設業」及び「小売業」が各15件確認できた。時系列での発生状況を見ると、発生直後から5年目までに全体の81.4%が発生しているが、10年経ってもそのダメージがトリガーとなる倒産が散見される
- 全国の発生状況では、10年目累計で最も多かったのは「東京都」の478件で、以下「宮城県」(205件)、「茨城県」(122件)、「静岡県」(115件)と続き、「栃木県」は発生件数としては97件で全国5位にランクされ、その数は被災県の福島県や岩手県を上回っている
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