レポート日銀短観が示す中堅以下企業の息切れ感

2007/07/05
コラム

東麻布の宮

7月2日、日銀から6月の企業短期経済観測調査(短観)が発表された。


それによると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業(プラス23)が前回の3月調査と同水準を維持。マスコミ各社はこの結果に焦点を当て、『日本経済は緩やかな拡大を持続』と書き立てた。


しかし、製造業でも中堅・中小はともに3月調査比マイナスで、全規模製造業(プラス13)も同2ポイント悪化している。つまり、大企業はかろうじて景況感が維持されているものの、中堅以下はいよいよ息切れし始めていることを示している。


TDB景気動向調査では、以前からその傾向が表れ始めていた。今回の日銀短観は、ようやくその傾向を浮き彫りにしたという点で注目に値する。決して『日本経済は緩やかな拡大を持続』というような楽観的な見方はできないのだ。


金融市場では、大企業製造業の景況感が上向かなかったことで『7月の利上げはない』との観測が高まっているようだが、すでに利上げを模索する局面ではないとも言える。確かに長期的には世界経済の拡大にあわせて経済成長は可能かもしれないが、それは景気の舵取りを失敗しないという条件がつくのは言うまでもない。

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