はじめに
今般、雇用の安定や分かりやすい制度改革を狙いとする労働者派遣法改正案の成立が先送りとなった。同改正案が成立すれば、派遣社員を導入する企業の増加が期待されているが、その一方で、少子高齢化問題等を背景に、今後、人材採用環境が厳しくなる業種・企業が増えることが予想される。こうしたなか、近年の人材派遣会社の業績はどのような推移をみせているのだろうか。
帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(145 万社収録)から2013 年度(2013 年4 月~2014年3 月)決算の年収入高が判明した主要人材派遣会社104 社(年収入高50 億円以上)を抽出し、年収入高、損益(当期純利益)の推移や株主別動向、倒産件数推移などについて分析した。
調査結果
1. 主要104 社の2013 年度決算の年収入高合計額は2 兆455 億5800 万円となり、2012 年度比で571 億9500 万円増加(2.9%増)。96.9%(損益が判明した96 社中93 社)が黒字決算となった
2. 同 104 社の2010 年度~2013 年度の年収入高推移を見ると、48.1%(50 社)が「3 期連続増収」、4.8%(5 社)が「3 期連続減収」。損益推移では、86.3%(判明した95 社中82 社)が「3 期連続黒字」となり、「3 期連続赤字」はゼロとなった
3. 2009 年度の年収入高合計(判明した95 社合計)は、リーマン・ショックが発生した2008 年度の年収入高合計比で21.4%ダウン。2011 年度以降は回復基調にあるものの、リーマン・ショック前の水準には回復していない
4. 倒産件数は2009 年以降、高水準で推移し、2013 年には84 件を記録。2014 年は11 月までに78 件発生し、2013 年と同水準で推移している
5. 104 社を筆頭株主別に分類すると、人材派遣会社グループ系列(39 社)、上場・大手企業系列(36社)、創業者一族・自社保有(26 社)、その他(3 社)となり、「上場・大手企業」の9 割が3 期連続黒字となった

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