< 2013年12月の動向 : 景気上昇に力強さ >
2013年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.2ポイント増の49.5となり、6カ月連続で改善、前月に続き過去最高を更新した。
12月は自動車や家電製品への消費税増税の駆け込み需要や再生可能エネルギー関連需要拡大の影響を受けた。また、住宅以外の耐久消費財の販売も好調に推移した。冬期賞与の増加で高額商品の販売が伸びており、繊維製品など高品質志向が戻りつつあることから、改めて日本製に対する意識が高まっている様子もうかがえる。建設や鉄鋼関連、耐久財小売などを含め51業種中11業種で過去最高となった。地域別では地方圏の6地域が過去最高となったほか、規模別でも小規模企業が最大の改善幅を示すなど規模間格差も縮小してきており、全体では2カ月連続で過去最高を更新する要因となった。
アベノミクス効果は地方圏の実態経済に着実に広がりをみせており、国内景気は全面的上昇の勢いを増している。
■調査結果のポイント
- 「大企業」「中小企業」「小規模企業」の全規模で過去最高を更新した。規模間格差が4カ月連続で縮小しており、アベノミクス効果が幅広い規模にまで波及してきた。
- 『小売』は2カ月連続で改善した。自動車や家電・情報機器などが1年前と比較して急激に改善した。しかし、繊維製品や専門商品は30台にとどまるなど、業種間での二極化がみられ、10業界中で最も低い水準となった。また、『農・林・水産』は「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本産水産物の輸出の好調や食品偽装表示問題が重なり養殖魚の価格も上昇したこともあり、大幅に改善した。
- 地域別では、『北海道』『北陸』『九州』など6地域が過去最高を更新した。他方、小売やサービスなどが高い『南関東』や『近畿』では、建設や不動産など公共工事関連が低く、全体を下回る状況となった。
< 今後の見通し : 上昇が持続 >
今後は2014年4月の消費税率引き上げが景気動向にとって最大の懸念材料であり、個人消費の腰折れ懸念を払拭する必要があろう。加えて、米国の金融緩和縮小のタイミングも注視すべき要素といえる。
しかしながら、消費税増税の悪影響を緩和する5.5兆円規模の経済対策が本格化し、公的部門が下支えする状況が続くと見込まれる。また、企業は2014年景気について悪化局面よりも回復局面を見込んでおり、総じて改善傾向が続くと考えているが[「2014年の景気見通しに対する企業の意識調査」(帝国データバンク)]、賃金上昇やデフレ脱却などアベノミクスに対する成果を求める傾向が強まるとみられる。特に、投資や賃上げを促す法人税減税の実施や円安の定着、東京五輪に向けたインフラ整備やシステム開発などの関連事業が好材料となる。さらに、海外からの観光客の増加も期待される。
消費税増税の荒波を上回る好材料が見込まれ、国内景気の上昇は継続するとみられる。
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