■調査結果のポイント
- 7月の景気DIは前月比0.7ポイント増の45.4となり、4カ月ぶりに改善した。原油価格の下落や公共工事の下げ止まりなど、経済を停滞させていた要因が薄れてきた。国内景気は、賃金上昇やインバウンド消費の拡大など生産・消費活動への好材料が増えている。今後は、回復力に勢いは感じられないものの、なだらかな上向き傾向が期待される。
- 業界別では『建設』『製造』『卸売』『サービス』など10業界中9業界が改善した。設備投資や住宅投資が堅調に推移し建設・機械関連の改善が目立った。7月の景気は『製造』と『卸売』が大きく影響したほか、『サービス』も全体を0.10ポイント押し上げる結果となった。
- 地域別では、『東北』や『南関東』、『東海』など4カ月ぶりに10地域中9地域が改善した。公共工事が上向いたことに加え、プレミアム商品券による地元商店などへの消費効果がみられた。規模別では4カ月ぶりに全規模が改善し、とりわけ「中小企業」は建設や運輸など全10業界が改善した。
< 2015年7月の動向 : 好材料増す >
2015年7月の景気DIは前月比0.7ポイント増の45.4となり4カ月ぶりに改善した。
7月は、原油価格が1バレル=40ドル台(WTI)に下落したことで、ガソリンや軽油価格が低下し、中小運輸業の景況感を上向かせる要因となった。また、給与水準の上昇に加えて大手企業の夏季賞与妥結額が過去3番目の高水準となるなど所得環境が改善したうえ、継続する円安水準を追い風に中国などからの訪日旅行客によるインバウンド消費が拡大したことで、個人消費関連が好調だった。堅調な設備投資や下げ止まり傾向のみられた公共工事もあり建設関連需要が高まったほか、普通乗用車の生産が上昇に転じたことで機械製造などが堅調に推移した。
国内景気は、賃金上昇やインバウンド消費の拡大など生産・消費活動への好材料が増えている。
< 今後の見通し : なだらかな上向き傾向 >
有効求人倍率の改善や失業率の低下など労働需給は引き締まった状態にあり、雇用者所得は上昇していくとみられる。さらに、建設や情報サービス、旅館・ホテルなどで人手不足が高水準となっており雇用状況の改善は続くと予測される。また、住宅着工戸数の持ち直しや大型のインフラ投資も高水準で推移するとみられるほか、自動車生産の持ち直しを通じた機械需要の回復や、米国経済の堅調な成長はプラス材料といえよう。
今後の国内景気は、回復力に勢いは感じられないものの、なだらかな上向き傾向が期待される。
ただし、食品価格の上昇など個人消費が抑制されるリスクのほか、中国の成長鈍化で輸出が下押しされる可能性もある。これらが顕在化した場合、生産調整の長期化や企業の投資意欲の低下など景気が下振れする懸念は残る。
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。