■調査結果のポイント
- 9月の景気DIは前月比0.6ポイント増の42.9となり2カ月ぶりに改善した。前月の天候不順による落ち込みから復調したことに加え、公共工事の増加で建設関連が改善した。国内景気は公的需要や住宅投資が下支え要因となり持ち直した。今後の景気は、徐々に上向いていく兆しが表れてきたものの、当面は横ばい圏内で推移していくとみられる。
- 『建設』『小売』『製造』など8業界が改善、『不動産』など2業界が悪化した。全国的に好況な公共工事や首都圏を中心とした再開発案件の活発化など旺盛な建設需要を追い風に、『建設』や関連業種が改善。「化学品製造」や「鉄鋼・非鉄・鉱業」が好調な『製造』とともに2業界で全体を0.4ポイント押し上げた。
- 2カ月ぶりに『北関東』や『北陸』『九州』など10地域すべてが改善した。『北関東』では、地場大手メーカーの好調な生産が景況感を押し上げる要因となった。『九州』では観光関連への復興支援策もあり「娯楽サービス」などが上向いたが、「熊本」は一部製造業で生産回復の遅れがみられるなど、4カ月ぶりに悪化した。
< 2016年9月の動向 : 持ち直し >
2016年9月の景気DIは前月比0.6ポイント増の42.9となり2カ月ぶりに改善した。
日本銀行は9月21日に公表した過去3年余りにわたる金融政策の“総括的な検証”結果を受けて、“長短金利操作付き量的・質的金融緩和”政策を導入し、金融緩和政策の強化を決定した。そのようななか、9月の国内景気は、前月の台風など天候不順による悪化から持ち直しがみられたほか、公共工事の増加や首都圏・地方都市を中心とした再開発の活発化、持家や貸家を中心に好調な住宅投資などで『建設』や関連業種が改善、多くの地域で建設業が上向き、2カ月ぶりに全10地域が改善する要因となった。一方、家計所得が伸び悩み消費マインドの低迷が続くなか、「飲食店」は1年9カ月ぶりに30台に落ち込んだ。
国内景気は、公的需要や住宅投資が下支え要因となり持ち直した。
< 今後の見通し : 横ばい圏内で推移 >
日本銀行が導入した新しい政策枠組みによる効果が期待される一方、短期的には財政支出による経済対策で国内景気は下支えされるとみられる。個人消費においては、家計可処分所得が伸びないなかで、最低賃金引き上げは消費を底上げする要因となるであろう。また、震災復興の継続とともに、東京五輪に向けた公共工事はこれから本格化すると見込まれる。しかしながら、原油価格がじわじわと上昇していたなかで、石油輸出機構(OPEC)非公式会合における減産合意は、ガソリンなど企業のコスト負担を増加させる要因となりかねない。また、米国で9月の金利引き上げ見送りにより円高リスクが高まったうえ、米国大統領選の行方なども先行きを不透明にする一因となっている。
今後の景気は、徐々に上向いていく兆しが表れてきたものの、当面は横ばい圏内で推移していくとみられる。
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。