レポート株価動向を注視する日銀にもの申す

2006/07/07
マーケット  コラム

東麻布の宮

いよいよゼロ金利の解除が視野に入ってきた。日銀は7月13日、14日に行われる金融政策決定会合で解除の是非を議論するとのことだが、政府も解除に容認姿勢をとっているもようで、早ければそのタイミングで利上げが決定されるかも知れない。


解除判断のポイントとして挙げられている消費者物価、需給ギャップなどはすでにクリアしており、日銀短観では国内景気の回復持続が裏付けられた。普通に考えればいつ利上げしてもおかしくない状況なのだが、いまだ解除に踏み切れないのは、国内株式市場の動向が気がかりとなっているからだ。


株価は景気に先行して動くから、景気が良くなる過程では株価は上昇し、逆に景気が悪くなる過程では株価は下落する。つまり、株価は景気に左右されるわけだ。


しかし、日銀が株価動向を不安視しているのは、"株価が下落したら景気が悪化するのでは"という考えが根底にある。これは景気が株価に左右されるということであり、考えがまったく逆になってしまっている。


株価が下がったから景気が悪くなるのではなく、景気が悪くなるから株価が下がる―――日銀はゼロ金利を解除する前にこれに気づいて、株価動向に注目する姿勢をやめて景気の先行きを注視してほしいものだ。

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