レポート2017年8月の景気動向調査

消費税率引き上げ後の最高を更新 ~ 一部の業種や地域で長雨が響くも、耐久消費財の好調から回復続く ~

2017/09/05

■調査結果のポイント

  1. 2017年8月の景気DIは前月比0.1ポイント増の47.7となり、3カ月連続で改善した。国内景気は、一部の業種や地域で長雨が響いたものの、耐久消費財の販売好調などから消費税率引き上げ後の最高を更新し、回復が続いた。今後の国内景気は、堅調な外需に加え、設備投資や個人消費といった内需関連の拡大が期待されることから、回復傾向が続くと見込まれる。
  2. 『卸売』『小売』『サービス』など7業界が改善、『農・林・水産』など3業界が悪化した。家計可処分所得が増加してきたなか、耐久消費財などを中心に『小売』の景況感が押し上げられたほか、災害復旧・復興工事や東京五輪需要にともない建材関連の景況感も改善した。
  3. 『東海』『中国』など10地域中5地域が改善し、いずれも消費税率引き上げ後の最高を更新した。『東北』など3地域が悪化、『南関東』など2地域が横ばいとなった。公共工事の増加や自動車・半導体などが好材料となった。しかし、長雨の続いた地域では悪化した。

< 2017年8月の動向 : 回復続く >

2017年8月の景気DIは前月比0.1ポイント増の47.7となり、3カ月連続で改善した。

有効求人倍率が高水準で推移するなど雇用・所得環境が改善するなか、エコカー減税などを受けて購入した自動車や家電など耐久消費財が、買い替え時期を迎えたことはプラスに働いた。また、災害復旧・復興工事や東京五輪需要も好材料となったことで、全体のほか複数の業界・規模・地域で、2014年4月の消費税率引き上げ後の最高を更新した。一方、8月は東京都心で21日連続の降雨を記録するなど、東日本を中心に天候不順に見舞われた。長雨が夏休みやお盆と重なったことで、レジャーなどの個人向けサービスや農作物に悪影響を及ぼした。

国内景気は、一部の業種や地域で長雨が響いたものの、耐久消費財の販売好調などから消費税率引き上げ後の最高を更新し、回復が続いた。

< 今後の見通し : 回復傾向続く >

海外経済が底堅く推移すると予測されるなか、半導体など電子部品や自動車部品の輸出増加は継続し、外需の好調が続くであろう。内需は、東京五輪関連や都市部の大型開発に加え、好調な企業収益を追い風に、人手不足対策への省力化投資など設備投資の活発化が見込まれる。また、雇用環境の改善や最低賃金引き上げを受け個人消費も緩やかに持ち直していくことが期待される。一方で、米経済政策の進捗遅れや北朝鮮問題など、海外情勢を注視していく必要があるだろう。

今後の国内景気は、堅調な外需に加え、設備投資や個人消費といった内需関連の拡大が期待されることから、回復傾向が続くと見込まれる。

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