レポート最低賃金改定に関する九州企業の意識調査

4割の企業が給与体系を見直し ~ 消費回復への効果、半数の企業が不十分と認識 ~

はじめに

2016年10月1日から20日にかけて最低賃金が改定された。2016年度の最低賃金の改定は、政府の「ニッポン一億総活躍プラン」や「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太の方針)、「日本再興戦略2016」などを踏まえ、最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降で最高額の引き上げとなり、すべての都道府県で700円を上回ることとなった。そのため、収入増加による消費活性化などが期待される一方で、人件費上昇による企業収益の悪化などが懸念されている。

そこで、帝国データバンク福岡支店は、最低賃金の引き上げに関する九州・沖縄地区(以下、九州)企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2016年9月調査とともに行った。


■調査期間は2016年9月15日~9月30日、調査対象は九州の1,994社で、有効回答企業数は747社(回答率37.5%)。

調査結果

  1. 最低賃金の改定を受けて給与体系を「見直した(検討している)」企業は40.7%にのぼり、特に非正社員を多く抱える『小売』や『運輸・倉庫』『製造』『不動産』の4業界で4割を超えた。他方、「見直していない(検討していない)」企業は41.6%となった
  2. 従業員を実際に採用するときの最も低い時給は、全体平均で約958円。最低賃金(823円)を135円上回る。九州で両者の差額が最大だったのは「沖縄県」で、以下「鹿児島県」「福岡県」が続いた。乖離率が20%以上の都道府県は全国でも7県だが、うち4県が九州に集中しており、九州の企業は乖離率が高水準であることが判明した
  3. 今回の引き上げ額について、「妥当」と考える企業が45.8%で最多。「妥当」は「高い」(11.0%)、「低い」(15.7%)を大きく上回り、総じて企業側に受け入れられている様子がうかがえる
  4. 自社の業績に対する影響では、「影響はない」が56.4%で最多。「プラスの影響がある」は1.9%にとどまった一方、「マイナスの影響がある」は22.4%と2割を超えた
  5. 今後の消費回復への効果について、「ある」と考える企業は13.8%にとどまる一方、「ない」は47.8%とおよそ半数にのぼっており、消費回復に対しては懐疑的な見方をする企業が約半数を占める
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