レポートTDB景気動向調査2025年03月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

2025/04/03
景気動向  アンケート

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.3

-0.3

4カ月連続の悪化

・概況

米価高騰を追い風に『農・林・水産』の景気DIは50を大幅に超え、景況感は改善傾向を辿っている。また、農機具等の製造、小売といった関連業界へも波及している様子がうかがえた。一方、「仕入れ原価の高騰が続き、簡単に販売価格に転嫁できない」(専門商品小売)や、「物価高による個人消費の低迷」(飲食料品小売)という声のように、消費者の節約志向の影響を大きく受ける『小売』を中心に、様々な物価の高止まりにより景気DI(38.3)は4カ月連続で悪化した。今後も好転材料に乏しいことから低水準での推移が予想される。

・景気DI

景気DI(38.3)は前月比0.3ポイント減少し、4カ月連続で悪化した。『全国』(43.5)との格差は5.2で同0.3ポイント拡大した。県別は改善2県(「青森」「宮城」)、悪化4県(「岩手」「秋田」「山形」「福島」)となった。

・規模別DI

「大企業」(44.2)が前月比1.1ポイント、「中小企業」(37.6)が同0.3ポイントそれぞれ減少した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は6.6となり、同0.8ポイント縮小した。

・業界別DI

改善が『農・林・水産』『金融』などの4業界、悪化は『サービス』『製造』『卸売』などの5業界、『小売』が横ばいとなった。『農・林・水産』(58.0)が最も高く、『小売』(33.8)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.1(当月比2.8ポイント増)、「6カ月後」は41.9(同3.6ポイント増)、「1年後」は42.1(同3.8ポイント増)となり、前月と比較して「1年後」のみが悪化した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

1.4

5カ月ぶりに改善

・概況

青森の景気DIは40.9となり、前月から1.4ポイント改善した。「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」の悪化傾向が続いているが、全体としてインバウンド需要も取り込むことで、「旅館・ホテル」や「飲食料品卸売」と「飲食料品小売」が改善傾向を示した。また、大雪が続いたことで除排雪作業の増加により「建設」も改善傾向を維持した。一方、物価高のなか、価格転嫁が難しい中小企業の収益環境は厳しく、企業規模や業種による格差が拡がっている。今後もしばらくは一進一退といった足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは40.9となり、前月から1.4ポイント改善した。都道府県別順位は34位となっており、前月(38位)よりも上昇し、東北6県の中では依然として上位を維持している。企業を取り巻く収益環境は厳しいが、「旅館・ホテル」と「飲食料品卸売」の景気DIが改善傾向を示している。

・規模別DI

「大企業」は51.9と前月より1.9ポイント改善したほか「小規模企業」も40.1と前月より3.0ポイント改善された。大企業を中心に景況感は回復傾向が見られる。

・業界別DI

「飲食料品・飼料製造」や「鉄鋼・非鉄・鉱業」は悪化したが、「繊維・繊維製品・服飾品小売」や「飲食料品卸売」が改善し、全体を押し上げた

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後がいずれも前月より悪化し、物価高の影響もあり、見通しは明るいとは言いがたい。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

35.8

-3

2カ月ぶりに悪化

・概況

景気DIは前月比3.0ポイント減、過去1年間で最も低い35.8にとどまり、都道府県順位が全国47位に落ち込んだ。「大企業」は4カ月連続で50を下回り、「中小企業」は6カ月連続で40を下回った。業界別では『製造』卸売』『小売』『サービス』の苦戦が目立つ。先行き見通しとしても、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」のいずれもが『東北』の中で最低にとどまる。住宅価格や住宅ローン金利が上昇する中、一部の地場ハウスメーカー・工務店では業況不振が見受けられ、裾野が広い分、その影響が懸念される状況にあり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比3.0ポイント減の35.8となり、2カ月ぶりに悪化した。これは『東北』(38.3)の中で最も低く、都道府県順位も全国47位(前年同月の順位は全国46位)。4カ月連続で40を下回ったほか、過去1年間で最も低い水準。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.4ポイント減の42.6となり、判断の分かれ目となる50を4カ月連続で下回った。「中小企業」は同2.8ポイント減の35.2となり、6カ月連続で40を下回った。この結果、「大企業」と「中小企業」の格差は7.4となった(前月は9.0)。

・業界別DI

『農・林・水産』『金融』『小売』を除くすべての業界で悪化、特に、『製造』は前月比3.9ポイント減の35.0に落ち込んだほか、『卸売』は同5.7ポイント減の26.2まで悪化した。『小売』は前月から変動がなかったとは言え、28.9と7カ月連続で30を割り込み推移している。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.8、「6カ月後」が40.6、「1年後」が39.6と、いずれも『東北』の中で最低にとどまり、判断の分かれ目となる50を大きく下回る結果となった。特に、「3カ月後」と「1年後」が40を下回ったのは岩手のみであり、厳しい先行き見通しが示されていると言える。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.3

1.2

3カ月ぶりの改善

・概況

景気DI(38.3)は3カ月ぶりに改善した。『農・林・水産』を筆頭に7業界で前月から改善が見られ、コメや卵などの価格上昇が生産者にとってプラス要因となっている。一方で、『建設』『製造』などの4業界では30台で推移し全体を押し下げたことで、都道府県別順位も45位にとどまっている。大企業と中小企業の格差に加え、中小企業間でも格差が拡大している。物価上昇が続くなど急激な回復は見込めないことから、景気動向は一進一退の推移となるだろう。

・景気DI

景気DI(38.3)は前月比1.2ポイント増加し、3カ月ぶりに改善した。『全国』(43.5)との比較では5.2ポイント下回り、格差は1.2ポイント縮小したものの、3カ月連続で40台を下回った。都道府県別順位は前年同月の36位から45位へ下落した。

・規模別DI

「大企業」(45.8)は前月比1.3ポイント減少、「中小企業」(37.4)は同1.5ポイント増加し、「大企業」と「中小企業」の格差は8.4で同2.8ポイント縮小した。

・業界別DI

改善は『農・林・水産』『運輸・倉庫』『製造』など7業界、悪化は『不動産』の1業界、横ばいは『金融』など2業界となった。『農・林・水産』『金融』(各50.0)が最も高く、『小売』(30.4)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.5(当月比3.2ポイント増)、「6カ月後」は41.8(同3.5ポイント増)、「1年後」は41.6(同3.3ポイント増)となった。前月と比較して「1年後」のみ悪化した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.1

-0.2

2カ月ぶりにやや悪化

・概況

景気DIは、『全国』が前月比横ばいであったが、『東北』は同0.3ポイント悪化した。『東北』では、「青森」「宮城」の2県が改善、本県と「岩手」「福島」「山形」の4県が悪化した。ガソリン価格や光熱費が高値で推移していること、米や野菜等の食品類の高騰が続いていること等から個人の消費動向は弱含みで推移している。このため、景況感の回復にはしばらくの時間が必要との見方が多い。

・景気DI

「秋田」の景気DIは39.1と2月を0.2ポイント下回り、2カ月ぶりにやや悪化した。それでも『東北』6県では前月の第3位から第2位へアップし、『東北』を0.8ポイント上回った。また、『全国』(43.5)を4.4ポイント下回ったものの、前月の第40位から第39位にわずかにアップした。

・規模別DI

規模別では、「中小企業」(38.5)は0.4ポイントアップしたものの、「大企業」(45.8)が前月比4.2ポント悪化した。これにより、「大企業」と「中小企業」の格差は前月より縮小した。

・業界別DI

業界別では、『不動産』『卸売』『小売』『その他』の4業界が改善したが、『建設』『運輸・倉庫』が横ばい、『農・林・水産』『サービス』『製造』の3業界が前月比で悪化した。悪化したなかでは、『サービス』(38.5)の前月比4.6ポイント減が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」41.6、「6カ月後」42.2、「1年後」42.6と現状よりは改善するという見方が多いが、依然として低位であり、格別に明るい材料は見当たらず、先行きは依然として不透明であると言える。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.8

-1

2カ月連続で悪化

・概況

企業からは、「農業用機械業界では、米価高騰で農家の購買意欲が上向き」(製造、小規模企業)の声がある一方、「消費者の高値に対する警戒感や安値志向が目立つ」(小売、小規模企業)、「東北は仕事量が減少しており、工場稼働率が大幅減少」(建設、中小企業)、「物価高、人件費上昇、トランプ政権の影響」(サービス、中小企業)「インバウンドは増えているがコロナ前のレベルには達しておらず、米沢牛の価格も一進一退」(小売、中小企業)など、物価高のみならず、需要の停滞など、厳しい状況を訴える見解が多数を占めた。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月から1.0ポイント悪化して36.8となった。悪化は2カ月連続。『東北』は同0.3ポイント悪化の38.3で、悪化は4カ月連続。『全国』は前月から横ばいの43.5を示した。全国のブロック別では、景気DIが40を下回るのは『東北』のみであり、低調な状況が顕著となっている。

・規模別DI

「大企業」は前月から2.2ポイント悪化の36.7、「中小企業」は同0.9ポイント悪化の36.8、うち「小規模企業」は同0.8ポイント悪化の38.1となり、規模別のDIは全て2カ月連続で悪化を示した。

・業界別DI

『農・林・水産』、『建設』、『不動産』、『卸売』、『運輸・倉庫』の5業界が前月から改善した一方で、『製造』、『小売』、『サービス』は悪化した。特に『農・林・水産』のDIが50を上回った一方で、『製造』は2カ月連続の悪化、『小売』については3カ月連続の悪化を示しており、業種による景況感の違いがみられる。

・先行き見通しDI

先行き見通しについては、「3カ月後」は前月から0.5ポイント悪化の41.4、「6カ月後」は同0.6ポイント悪化の42.6、「1年後」についても同0.6ポイント悪化の43.1を示した。「山形」の先行き見通しDIは3指標全てで前月から悪化しており、中長期的な見通しは引き続き厳しいものとなっている。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.1

-1

2カ月ぶりに30台に悪化

・概況

4業界が悪化し「福島」の景気DI(39.1)は前月比1.0ポイント悪化した。企業からは「年度末工事が終わり案件減少」(建設)、「この2年間を比較したところ、注文数が約7~8%減少」「年度末であるが前期同月に比べ案件低調」(各製造)、「仕入れ高騰分の価格転嫁が遅れている」(卸売)、「軽自動車の販売が前年比約80%減少」(小売)等の声が届いている。景気DIが示すように厳しいコメントが多数を占めており、物価上昇などを背景として消費者の節約志向も定着、今後の景気動向が弱含みで推移する可能性を否定できない。

・景気DI

「福島」の景気DIは、39.1と2月を1.0ポイント下回って、2カ月ぶりに悪化、30台に転落した。『全国』の景気DIは、前月(43.5)と変化はなく、43.5であった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第36位から第39位となった。

・規模別DI

「大企業」(45.1)は前月比4.8ポイント上昇、「中小企業」(38.4)は同1.7ポイント低下、「小規模企業」(38.1)は同0.9ポイント低下した。格差(大企業-中小企業)は6.7ポイントとなり、4カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『不動産』』『農・林・水産』『小売』『運輸・倉庫』は改善したが、『卸売』『サービス』『製造』『『建設』の4業界が悪化した。『建設』は7カ月連続で40台をキープしたものの、『運輸・倉庫』は4カ月連続で30台にとどまっている。また『小売』は7カ月連続、『製造』においては14カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは4業界が改善を見込んでいる。特に『製造』は当月(32.9)から12.7ポイント、『運輸・倉庫』は同(39.6)から8.3ポイントの改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」は、同(42.0)から3.1ポイントの悪化を見込んでいる。

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