レポート2013年1月の景気動向調査

景気DIは38.0、前月比2.3ポイント増と2カ月連続で改善 ~ 国内景気は、経済政策への期待が高まるなかで回復の兆し ~

2013/02/05

< 2013年1月の動向 : 回復の兆し >

2013年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比2.3ポイント増の38.0となり、2カ月連続で改善した。震災直後の2011年7月(同2.3ポイント増)以来の大きな改善幅となった。

新政権による大型補正予算や政府と日本銀行との政策協定など、今後の景気対策や金融緩和への期待が高まり、1月31日には為替相場が一時1ドル=91円77銭(東京市場)まで円安が進み、日経平均株価も42年ぶりに11週連続で上昇した。また、復興需要や季節商材の好調などから実需も伸びたことで、『建設』や『不動産』、『製造』など全10業界、51業種中47業種が改善した(前月:32業種)。

国内景気は、経済政策への期待が高まるなか、回復の兆しが現れている。

『建設』、復興需要や設備投資の増加などで2カ月ぶりに改善

復興需要や企業の設備投資の増加、公共投資の期待先取りなどで、『建設』(41.9)は2カ月ぶりの改善となり、6年3カ月ぶりに40を上回った。復興需要が続いた『東北』で3カ月ぶりに改善したほか、『南関東』『東海』『近畿』の三大都市圏もそろって改善した。

『製造』は2カ月連続で改善し、全12業種で上向く

『製造』は、震災復興やインフラ投資への期待の高まりなどにより「鉄鋼・非鉄・鉱業」が改善したほか、円安の進展で輸出に回復傾向がみられた「機械製造」や「輸送用機械・器具製造」なども改善するなど、全12業種が改善した。

全10地域が10カ月ぶりにそろって改善

『東海』は自動車関連や建材・家具製造が上向いたことで『製造』が改善したほか、季節商品の動きが出ている『卸売』など、10業界中9業界が改善した。また、『東北』も復興需要が続くなかで、『不動産』『小売』『卸売』など10業界中9業界が改善しており、2012年3月以来、10カ月ぶりに全10地域がそろって改善した。

< 今後の見通し : 緩やかに回復 >

政府による大型補正予算案の国会提出や日本銀行のインフレ目標導入など、デフレ脱却と景気回復に向けた経済政策が打ち出されており、復興需要の継続や補正予算にともなう公共投資の実施の効果によって企業マインドの改善が期待される。また、海外では、米国における財政の崖回避やFRBによる金融緩和も好材料となる。

他方、消費税率引き上げや復興増税など家計負担の増大による個人消費への影響は大きな懸念材料である。また、為替や株価などの資産価格は期待先行で動いており、企業の売り上げや賃金上昇といった実体経済への波及が遅れた場合の反動が懸念される。さらに、中小企業金融円滑化法の終了による影響も注視する必要がある。

景気予測DIは「1カ月後」(40.6、当月比2.6ポイント増)、「3カ月後」(42.1、同4.1 ポイント増)、「6カ月後」(43.7、同5.7ポイント増)となった。

国内景気は期待感が先行する状況にあるなかで、緩やかな回復が見込まれる。

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