レポート2021年度長野県内企業売上高ランキング〈上位100社・速報〉

はじめに

新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめ、全国を対象とした最初の緊急事態宣言が発出された2020年春頃を底として、徐々に回復してきた国内景気。こうした傾向は、業種間・企業間格差を含みつつ2021年度に入ってからも継続、年度末まで小幅な増減を繰り返しながら緩やかな上昇局面をたどってきた。景気を牽引してきたのは機械系製造業。機械系メーカーや周辺産業が集積する長野県は、こうした傾向が特に顕著だった。

毎月実施するTDB景気動向調査で算出する景気DI（全産業、1～100）をみると、2021年度の12カ月のうち、長野県は2021年12月を除く11カ月で都道府県別トップ。DIが良悪判断の境目となる50を超えることはなかったが、機械系製造業に限ると60台、70台に達することもあり、全体を押し上げた。一方、コロナ禍の収束は見通せず、原油・原材料高などといった懸念材料も浮上した。

この間、地元大手企業の業績はどう推移したのだろうか。帝国データバンクでは毎年、県内企業売上高ランキング（上位100社）を作成しているが、今回2021年度決算（2021年4月期～2022年3月期）におけるランキングを集計し、動向を分析した。当集計には金融機関や事業協同組合などは含めておらず、連結決算を採用している企業もすべて単体の売上高を対象としている。

調査結果

1. 上位100社の総売上高が初めて5兆円を突破、伸び率も過去最大
   2021年度県内企業売上高ランキング・上位100社の総売上高は5兆1743億2300万円。記録が残る1985年度以降、初めて5兆円を超えた。伸び率13.2％も過去最大
2. 売上高トップはセイコーエプソン、新たに9社がランクイン
   売上高トップはセイコーエプソン（株）（諏訪市）。1985年度以来、トップの座を維持している。2位はミネベアミツミ（株）（御代田町）、3位は新光電気工業（株）（長野市）。前回、100位圏外から新たにランクインしたのは9社
3. 増収企業72社、3年ぶりに減収企業を上回る
   100社のうち、増収となったのは72社、減収は21社（7社は前期と比較せず）。3年ぶりに増収が減収を上回っている。製造業は、46社中37社（構成比80.4％）が増収だった
4. 大幅増収目立つ、伸び率トップは長野トヨタ自動車
   増収企業のうち、20％以上増27社、30％以上増12社と、売り上げが大幅に増加した企業も多かった。伸び率が最も大きかったのは、長野トヨタ自動車（株）（長野市）の84.1％増