レポート2017年12月の景気動向調査

「中小企業」の景況感が過去最高を更新 ~景気DIは50.9、7カ月連続の改善 ~

2018/01/12

■調査結果のポイント

  1. 2017年12月の景気DIは前月比0.9ポイント増の50.9となり、2002年の調査開始以来の過去最高(2014年3月、51.0)に迫る水準まで上向いてきた。製造業の好調に年末需要も加わり、景況感の改善が業界・規模間で広がるなど、国内景気は拡大した。今後は、国内外の企業向け税制改革なども寄与し、輸出や設備投資など企業部門がけん引して拡大基調で推移すると見込まれる。
  2. 10業界中9業界が改善、『金融』が悪化した。『製造』は機械製造や化学品製造など4業種が過去最高となり、3カ月連続で最高水準を更新した。さらに、『運輸・倉庫』『サービス』も最高となった。『卸売』が過去2番目に高い水準となったほか、年末需要などが寄与し個人消費関連の業種も持ち直した。
  3. 『北陸』『東海』『近畿』など10地域中9地域が改善、『北海道』が悪化となった。好調な自動車や工作機械生産、インバウンド需要などを背景に、3地域が過去最高を更新。規模別では、「中小企業」「小規模企業」の景況感が最高水準となった。

< 2017年12月の動向 : 拡大 >

2017年12月の景気DIは前月比0.9ポイント増の50.9となり、7カ月連続で改善した。2017年は2月以降、5月の横ばいを除きすべての月で改善した。

12月の国内景気は、中国などの旺盛な海外需要や為替相場の安定を背景に輸出の増加が続き、機械など製造業の好調が継続した。業界別で『製造』『運輸・倉庫』『サービス』、規模別では「中小企業」「小規模企業」が過去最高を更新するなど、年末需要や株高を追い風に、景況感の改善は製造業から他の業界へ、大企業から中小企業へと広がりを見せ、景気DIは過去最高(2014年3月、51.0)に迫る水準まで上向いてきた。燃料価格や人件費の上昇は負担となったが、

製造業の好調に年末需要も加わり、景況感の改善が業界・規模間で広がるなど、国内景気は拡大した。

< 今後の見通し : 拡大基調で推移 >

今後の国内景気は、輸出および生産の拡大が続き、これを受けた企業収益の増加や省力化需要を背景として、設備投資は堅調に推移するであろう。個人消費は、良好な雇用環境などから緩やかに回復すると予想される。また、米国の大型減税や中小企業の設備投資等を促す2018年度税制改正は、景気にプラスに働くとみられる。ただし、企業の半数超が正社員不足に直面していると回答するなど、人手不足の深刻化による悪影響が懸念されるほか、地政学的リスクには一定の注意が必要である。

今後は、国内外の企業向け税制改革も寄与し、輸出や設備投資など企業部門がけん引して拡大基調で推移すると見込まれる。

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