■東海ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
43.1 | -0.4 | 4カ月連続で悪化 |
・概況
『東海』の景気DIは4カ月連続で悪化。人手不足、原材料高、金利上昇がある中で、幅広い業種で受注量が一服していると感じている企業が多くなっている。4月からのトランプ政権の追加関税が当地区の主要産業である自動車にも波及することで、打撃を受ける企業、業界も広域に及ぶことが予想される。外需ではアメリカ以外の国とも歩調を合わせた対応が必要となる可能性があり、日本単独では如何ともし難い部分があるものの、内需では賃上げをいかに個人消費に結び付けることができるのかが問われるであろう。
・景気DI
『東海』の景気DIは43.1と前月から0.4ポイント減で悪化は4カ月連続。「三重」が1.4ポイント改善した以外は、各県で悪化した。特に「愛知」と「静岡」は3カ月連続での悪化となった。ブロックとしても、全国を下回った。全国10地域中の東海ブロックの順位は、前月3位から『近畿』に抜かれ4位に後退。
・規模別DI
全規模別において、DIは悪化した。特に「大企業」の悪化が1ポイントを超えており、その中には「物価高の影響」「自動車生産台数が予想以下」「工事物件数が少ない」などの声が聞かれた。
・業界別DI
全10業界中、改善は3業界、悪化は6業界、横ばいは1業界。ブロックの主要産業である『建設』『製造』『卸売』の悪化の影響は大きい。ただし、『サービス』では「引き合いが増えている」「スポット案件があった」などの声が認められ、改善した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は43.6(前月44.2)で前月から0.6ポイント、「6カ月後」は44.2(同44.4)で同0.2ポイント、「1年後」は44.7(同45.7)で同1.0ポイントそれぞれ悪化。すべての期間で悪化となるのは6カ月連続である。特に1年後の悪化が一番大きく、先行き不透明感の強さを物語っている。
■愛知県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
43.5 | -0.5 | 3カ月連続の悪化 |
・概況
「愛知」の景気DIは3カ月連続で悪化。主要産業の多くのDIが悪化する結果となった。物価高が続く中で、春闘における賃上げも加わって、企業の収益環境に楽観視は出来なくなりつつある。4月からはトランプ政権の追加関税が当地区の主要産業である自動車にも波及する影響も無視できず、今後の景気動向にも警戒感が広がっている。賃上げをいかに個人消費に結び付けることができるのかが問われる1年ともなろう。また、大企業におけるDIの後退が中小企業にも波及するのか否かも、ここ数カ月間は注目しておく必要が認められる。
・景気DI
全般的にコスト高が続いていることに加え、製造業では自動車部品メーカーの爆発事故の影響、建設業では大型工事案件の減少などによって、「愛知」の景気DIは43.5となり3カ月連続で悪化した。都道府県順位も前月の9位から大きく下落し17位となった。
・規模別DI
「中小企業」(42.9)は前月並、「小規模企業」(41.8)は同0.1ポイント増と大きな動きはなかったが、「大企業」(46.2)は前月から2.1ポイントの悪化となった。大企業ほど米国や為替の影響を重要視している様子がうかがえる。
・業界別DI
前月と比較可能な9業界中、改善が3業界、悪化が5業界、横ばいが1業界。展示会の来場者が増えて来たといった声がある『サービス』は好転したが、回答数の多い『建設』『製造』『卸売』が軒並み悪化。さらに『小売』におけるマイナス幅も大きく、個人消費に懸念がある状況も否めない。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は43.4(前月44.5)で前月から1.1ポイント減、「6カ月後」は44.0(同44.3)で同0.3ポイント減、「1年後」は44.2(同45.5)で同1.3ポイント減となり、すべての指標が前月から悪化。全国との比較でも全期間で下回るなど、先行きの厳しさに注意が必要である。
■岐阜県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42 | -0.7 | 3カ月ぶりに悪化 |
・概況
「岐阜」の景気DIは前月比0.7ポイント減の42.0となり、3カ月ぶりに悪化した。「受注、引き合いともに例年以上にある」(製造)、「インバウンド需要が好調のため」(小売)といった声はあるが、「インフラ整備などの予算がつきにくいと感じる」(建設)、「受注状況は良いが価格に反映されていない」(卸売)、「価格高騰による消費控え」(小売)など様々な業種で厳しい声が多く聞かれる。また、足元ではトランプ政権の自動車関税発動による悪影響が懸念され、県内の景況感は今後も厳しい推移が続く公算が大きい。
・景気DI
前月まで2カ月連続で改善していた「岐阜」の景気DIは前月比0.7ポイント減の42.0となり、3カ月ぶりに悪化した。また全国DIは6カ月連続で下回り、全国順位は25位(前月24位)に後退したほか、東海4県の順位は前月3位から再び最下位に転じた。
・規模別DI
「大企業」(47.2)は前月比1.4ポイント増となり、3カ月連続で改善した一方、「中小企業」(41.1)は同1.1ポイント減となり、3カ月ぶりに悪化。中小企業のうち「小規模」は39.1で同3.1ポイント減。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は同2.5ポイント増の6.1に拡大した。
・業界別DI
前月と比較できる8業界中、5業界種で悪化。『農・林・水産』(50.0)は前月比8.3ポイント減、『運輸・倉庫』(46.7)は同3.3ポイント減、『サービス』(49.2)は同3.1ポイント減で、前月50を上回っていた業界で悪化が目立った。一方『小売』(41.3)は同1.5ポイント増で3カ月連続改善。
・先行き見通しDI
「3カ月後」43.4(前月43.3)、「6カ月後」43.5(同43.4)、「1年後」44.4(同45.3)となった。「3カ月後」、「6カ月後」はごく僅かな改善に留まったほか、「1年後」は悪化しており、先行き警戒感は依然として根強い。また、いずれの指標も全国、東海4県を下回っている。
■三重県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
43.9 | 1.4 | 4カ月ぶりに改善 |
・概況
「三重」県内企業の景気DIは4カ月ぶりに改善。年度末の繁忙や価格転嫁の実施などが寄与した。県内企業からは「決算をむかえる会社が多いこともあるが、このところ新規開発案件の引き合いが増えている」(専門サービス)という前向きな声が聞かれた。しかし、米トランプ政権による関税の行方を懸念し、先行きを悲観的に捉える企業が多い。県内には自動車関連のサプライチェーンに組み入れられる企業が多いことから今後の影響が懸念される。さらに、物価の上昇が続いており、県経済は当面不透明な情勢が続くと見込まれる。
・景気DI
三重県内企業の景気DIは前月比1.4ポイント増の43.9となり、4カ月ぶりに改善。全国DIに対しては0.4ポイントながら2カ月ぶりに上回り、都道府県別順位は13位と前月から13ランク上昇した。また、東海4県の中では4カ月ぶりにトップ。ただし、前年同月に対しては2.0ポイント下回っている。
・規模別DI
「大企業」は前月比3.3ポイント増の42.2と2カ月ぶりに改善。「中小企業」は同1.2ポイント増の44.1と4カ月ぶりの改善、このうち「小規模企業」は同1.5ポイント増の44.4と3カ月ぶりに改善。差が縮まったものの、規模間格差は「中小企業」が1.9ポイント上回り、逆転現象は7カ月連続となった。
・業界別DI
前月と比較可能な8業界では、DIが最も高い『不動産』をはじめ『農・林・水産』、『建設』、『製造』、『卸売』、『小売』の6業界が改善。一方、下げ幅が最も大きく、DIが30台にとどまる『運輸・倉庫』および『サービス』の2業界が悪化。
・先行き見通しDI
「3カ月後」45.8(前月43.9)、44.7「6カ月後」(同44.9)、「1年後」44.4(同45.9)と短期的には改善したが、中長期的には不透明な情勢への警戒感がある。業界別では『農・林・水産』と『運輸・倉庫』の1年後は40未満にとどまった。
■静岡県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42.8 | -0.5 | 3カ月連続で悪化 |
・概況
「静岡」の景気DIは42.8となり、3カ月連続で悪化した。企業からは、「年度末の売上増が顕著」(サービス)との明るい声もあったが、一方で「物価の上昇に対して価格転嫁ができていない。人手不足(特に若者)の影響も大きい」(製造)、「原料価格の高騰による採算悪化」(卸売)など厳しい声も多くあがった。「静岡」では自動車産業が盛んな地域であり、米国の追加関税政策への影響を懸念する見方が事業規模の小さい企業にまで拡がっている。
・景気DI
「静岡」は前月比0.5ポイント減の42.8となり、3カ月連続で悪化した。全国(43.5)との比較では0.7ポイント下回り、全国順位では第21位となり、前月の第17位より低下した。なお、東海4県のなかでは、「三重」の43.9、「愛知」の43.5に次いで3番目に高くなった。
・規模別DI
「大企業」は前月比1.2ポイント減の49.2となり、良否判断の分かれ目となる50を2カ月ぶりに下回った。「中小企業」では同0.4ポイント減の41.8となった。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は前月より0.8ポイント縮まり、7.4ポイント差となった。
・業界別DI
主要6業界では『建設』が前月比0.5ポイント減ながらも49.5となり、3カ月連続でトップを維持した。一方で、『製造』は同1.2ポイント減の38.6にとどまり、6カ月ぶりに最下位となった。なお、改善した業界は『小売』『運輸・倉庫』など4業界となり、悪化した業界は『製造』『建設』の2業界となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は43.4(前月44.3)、「6カ月後」は44.7(同44.9)、「1年後」は45.9(同46.1)にとどまり、2カ月連続で3指標ともに前月を下回った。なお、規模別では「中小企業」「小規模企業」が3指標ともに前月を下回った。