レポート2017年11月の景気動向調査

景気DIは50.0、過去2番目に高い水準 ~ 製造業が2カ月連続で過去最高を更新 ~

2017/12/05

■調査結果のポイント

  1. 2017年11月の景気DIは前月比0.9ポイント増の50.0で、調査開始以来2番目に高い水準となった。国内景気は、輸出が拡大するなか製造業が2カ月連続で過去最高を更新するなど、回復が続いた。今後の国内景気は、輸出の好調継続などを受け、企業部門が主導するかたちで回復傾向が続くことが見込まれる。
  2. 7業界が改善し、2業界が悪化、1業界が横ばいとなった。機械類や自動車関連などの輸出増加を受けて、「化学品製造」「鉄鋼・非鉄・鉱業」の2業種が3カ月続けて過去最高を更新、『製造』全体も2カ月連続で過去最高となった。また、年末需要が追い風となった『運輸・倉庫』を含む5業界が50以上になった。
  3. 『北関東』『東海』『中国』など10地域中8地域が改善、『北海道』が横ばい、『北陸』が悪化した。自動車メーカーの増産が地域経済に波及したほか、公共工事も好材料となった。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がすべて改善し、規模間格差は6年ぶりに2ポイント台まで縮小した。


< 2017年11月の動向 : 回復続く >

2017年11月の景気DIは前月比0.9ポイント増の50.0となり、6カ月連続で改善した。

中国への輸出額が10月単月で過去最大を記録するなど、引き続き輸出が拡大基調で推移するなか、「化学品製造」「鉄鋼・非鉄・鉱業」の2業種が3カ月続けて過去最高を更新し、『製造』全体も2カ月連続で過去最高となった。季節需要が追い風となった『運輸・倉庫』など10業界中5業界が、また地域別でも10地域中5地域が50以上になった。景気DIは、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が起きた2014年3月(51.0)に次ぎ、2002年の調査開始以来2番目に高い水準となった(なお2014年1月も50.0)。

国内景気は、輸出が拡大するなか製造業が2カ月連続で過去最高を更新し、回復が続いた。

< 今後の見通し : 回復傾向続く >

世界経済が回復するなか、好調な輸出が今後も国内景気をけん引し、さらにTPP11の大筋合意もプラスに働いていくとみられる。企業業績の改善を背景とした省力化投資の高まりや、開催まで1,000日を切った東京五輪の関連需要を受け、設備投資は増加基調が続き、企業部門が日本経済をけん引していくことが予想される。一方の家計部門は、冬のボーナスの支給総額増加などが個人消費を当面下支えするなど、緩やかに持ち直すと予測される。ただし、人手不足の深刻化が及ぼす悪影響や、地政学的リスクによる為替や株式相場の変動には、注視していく必要がある。

今後の国内景気は、輸出の好調継続などを受け、企業部門が主導するかたちで回復傾向が続くことが見込まれる。

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