レポート2017年長野県内業歴別倒産動向調査

業歴の短い企業の倒産が急増した2017年 ~ 「5年未満」の倒産構成比は前年の3.1%から14.3%へ ~

はじめに

2017年に長野県内では98件の倒産が発生した。倒産件数はリーマン・ショック後の2009年に200件に達していたが、同年12月に施行された中小企業金融円滑化法による倒産抑制効果は大きく、同法の期限後も金融機関による支援姿勢が継続されたこともあり、今日に至るまで大きな変化はない。県内の倒産件数は2014年の91件を底として緩やかに上昇しているが、2017年も2009年の半分以下の水準にとどまっている。

2017年の状況は、既報の「長野県倒産集計2017年報」の通り。そこでは、業種別・地区別・主因別・資本金別・負債別・態様別といった切り口から集計している。2017年の動産動向を振り返ったとき、もうひとつ大きな特徴が浮かび上がる。それは業歴の短い倒産が目立ったこと。永続してこそ価値があると言われる企業だが、2017年は創業後「5年未満」「10年未満」で倒産する企業も少なくなかった。

そこで今回、直近10年を対象として県内の業歴別倒産データを抽出し、分析した。

調査結果

  1. 業歴「10年未満」の構成比が上昇、その他の区分はいずれも下降
    県内で2017年に発生した倒産98件を業歴別に区分すると、構成比は「30年以上」45.9%、「20年以上30年未満」12.2%、「10年以上20年未満」15.3%、「10年未満」26.5%。4区分のうち、前年から上昇したのは「10年未満」だけで、他の3区分は下降している。
  2. 業歴「10年未満」「5年未満」の構成比、過去10年間で最高
    業歴「10年未満」の構成比26.5%は、過去10年間で最も高い。また、業歴「5年未満」の構成比は14.3%となり、こちらも過去10年間で最高である。
  3. 業歴「10年未満」の倒産、負債・資本金ともに小規模が多数
    2017年における業歴「10年未満」の倒産を負債別でみると、「1000万円~5000万円未満」が61.5%と6割を超え、「5000万円~1億円未満」を加えると8割に達する。一方、資本金別では、「100万円以上1000万円未満」の区分が80.8%と突出、「1000万円以上」の区分に該当したのは1件だけだった。負債・資本金の分布からみて、事業規模の小さな企業が多数を占めていることがわかる。
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