レポート内装工事業者の実態調査

持ち家比率上位の日本海側が苦戦倒産件数は5年間で2倍に

2010/05/31
建設・不動産

はじめに

内装工事業者の業況が厳しさを増している。建設、不動産業界の倒産ラッシュは一巡、落ち着きを取り戻しているものの、法人向けの大規模物件、個人住宅ともに本格的な市況回復には程遠く、慢性的な受注減少に見舞われている。経営能力や技術力、営業基盤の有無によって個々の企業の収益力に差が生じるのは当然であり、さらにエンドユーザーの新築・リフォーム需要の強弱など事業環境の違いとニーズの変化にどれだけ上手く対応しているかによって、地域別、都道府県別でも違いが出てくる。
そこで、帝国データバンクは企業概要ファイル「COSMOS2」(130万社収録)の内装工事業を主業とする全国2万624社のうち年売上高5億円以上の1216社を抽出、最新期、前期および前々期の業績動向を調査し、都道府県別、地域別の傾向を分析。併せて、同一の集計基準での比較が可能な2005年4月以降に法的整理を申請した内装工事業1192社の倒産動向も分析した。なお、内装工事業者は住宅専門、店舗専門など全ての内装工事業者とした。

調査結果

全国内装工事業1216社合計の最新期における売上高は、約2兆1562億8200万円(前期比10.2%減)と大幅な減収となった。また、税引利益ベースによる収益動向も1216社合計で約31億5775万円(前期比86.5%減)と大幅な減益となり、事業環境の厳しさを示すものとなっている。
これらを地域別に分析すると、最新期において2ケタ台の減収率となったのは北陸、関東、近畿。この3地域は収益面でも大幅減益となったものの、黒字は確保した。北海道は2期連続の赤字、東北、中国は最新期に赤字転落した。
更に、都道府県別の売上、収益の状況分布をみると、持ち家比率が高い日本海側が苦戦し、対照的に太平洋沿岸部は底堅さが目立った。リーマン・ショック後の製造業を中心とした業績の低迷と雇用減少の影響のほか、核家族化に伴う新築物件の小型化・低価格化や賃貸物件の増加などの中・長期的な傾向も影響しているとみられる。
なお、内装工事業者の倒産件数は2005年以降、一貫して増加傾向にある。年間の倒産発生件数は、2005年度の173件が2009年度には325件と5年間で約2倍となっている。

20100531_内装工事業者の実態調査.pdf

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