レポート2017年7月の景気動向調査

旺盛な建設投資と猛暑が景気を押し上げ ~大企業は3年4カ月ぶりに50を上回る~

2017/08/03

■調査結果のポイント

  1. 2017年7月の景気DIは前月比0.8ポイント増の47.6となり、2カ月連続で改善した。国内景気は、旺盛な建設投資や猛暑が寄与するかたちで大企業や建設業が50を上回るなど、回復が続いた。今後の国内景気は、好調な輸出の継続に加え、建設関連および設備投資もけん引役となり、回復傾向が続く見込み。
  2. 『建設』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』など7業界が改善、『農・林・水産』『小売』など3業界が悪化した。猛暑により冷暖房機器の需要が上向いたほか、自然災害からの復旧・復興工事も『建設』を中心に押し上げ、建材関連などにも波及した。また、好調な半導体や自動車を通じて『製造』や『卸売』の関連業種の景況感も上向いた。
  3. 『北海道』『北関東』『九州』など10地域中9地域が改善、『四国』が横ばいとなった。台風や地震による災害復旧・復興工事が被災地域の『建設』など関連業界の景況感の押し上げに寄与した。他方、国内外からの観光客数増加もプラス材料となった。


< 2017年7月の動向 : 回復続く >

2017年7月の景気DIは前月比0.8ポイント増の47.6となり、2カ月連続で改善した。

東京五輪関連工事や大規模開発に加え、大型物流拠点やホテルの建設が継続するなか、梅雨に首都圏などで降水量が少なかったことが工事進捗へプラスに働いた。猛暑を受けた冷暖房工事や災害復旧・復興工事も堅調に推移し、建設業が景気判断の分かれ目となる50を2015年3月以来2年4カ月ぶりに上回った。また、夏物商品や建設関連貨物の増加を受けた自動車運送が上向いたほか、製造業ではスマートフォンの高性能化による電子部品市場の活況や国内外の省力化需要などが好材料となった。大企業は2014年3月以来3年4カ月ぶりに50を超えた。

国内景気は、旺盛な建設投資や猛暑が寄与するかたちで大企業や建設業が50を上回るなど、回復が続いた。

< 今後の見通し : 回復傾向続く >

今後は、開催まで3年を切った東京五輪および訪日外国人旅行客を見据えた投資、好調な企業収益や省力化需要を背景とした設備投資が景気を押し上げていくとみられる。個人消費は、雇用情勢の改善や最低賃金の引き上げに加えて、夏の季節商品・サービスの需要拡大も期待され、緩やかな回復が見込まれる。さらに、世界のGDPの約3割を占める自由貿易圏を生み出す日欧EPA交渉が大枠合意に達したことは、好調な輸出動向にプラスに働いていくであろう。他方、米連邦準備制度理事会(FRB)による資産縮小や国内の政治動向は景気を下押しする可能性も懸念される。

今後の国内景気は、好調な輸出の継続に加え、建設関連および設備投資もけん引役となり、回復傾向が続く見込み。

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