レポートTDB景気動向調査2025年03月(北陸ブロック:新潟・富山・石川・福井)

2025/04/03
景気動向  アンケート

■北陸ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

-0.4

前月好調の反動、製造業低迷続く

・概況

『北陸』の景気DIは前月比0.4ポイント悪化。「原材料高に加えて在庫も確保し難いが、価格を高く設定できる」(食品卸)、「北陸新幹線の効果絶大」(小売)、「能登の震災復興」(サービス)と前向きな声もあるものの、「生活防衛意識は非常に強い」(食品卸)、「中高生の制服需要が鈍い」(アパレル)、「年金受給世帯の買い控え」(家電小売)、「業界環境は過去最悪」(スクラップ卸)、「診療報酬と物価高騰の差が大き過ぎる」(医療)、「米国はやり過ぎ、日本は無策」(サービス)と、様々な業界から厳しい声が上がっている。

・景気DI

『北陸』の景気DIは前月比0.4ポイント減の40.6。5カ月ぶりに改善した前月の勢いは続かなかった。「富山」が『サービス』、『建設』、『運輸・倉庫』の落ち込みにより同2.0ポイント減となったほか、「新潟」も同0.6ポイント減。反面、「石川」は『製造』、『小売』の好調で5カ月ぶりに改善した。

・規模別DI

「大企業」が前月比1.5ポイント増の47.3と2カ月連続で改善。反面、前月に5カ月ぶりに改善した「中小企業」は同0.8ポイント減の39.3となり、規模間格差は8.0ポイントに拡大した。一方、「うち小規模」企業の好調は持続、同0.7ポイント増の38.4と2カ月連続で改善した。

・業界別DI

『運輸・倉庫』が前月比1.4ポイント減の36.8と4カ月連続で悪化。『金融』も同0.7ポイント減の47.4と3カ月連続で悪化した。そのほか『小売』が同1.8ポイント減の39.1、『サービス』が同1.2ポイント減の47.4と落ち込んだ。『製造』は全産業中最も水準の低い状態が11カ月連続で続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が42.3(前月は42.7)、「6カ月後」が43.7(同44.5)、「1年後」が44.7(同45.5)と3指標いずれも悪化した。2月は消費関連が回復、12~1月の低迷を脱するかにみえたが再び失速気味で、先行きの不透明感も増している。ただ、北陸と全国の格差は縮小していく見通しだ。

■新潟県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.4

-0.6

反落、都道府県別順位は第44位に後退

・概況

「新潟」の景気DIは、前月比0.6ポイント減の38.4。「受注好調」(生花店)、「春休みや歓送迎会の需要増」(サービス)、「首都圏からのソフト開発案件が多い」(情報サービス)などの明るい声も聞かれるが、「地場産業の工場稼働率がかなり悪い」(金融)、「建築資材の価格が高騰、着工数も減少」(建設)、「原料米は今後も不足感」(食品メーカー)、「法人・個人ともに低調」(輸送用機器製造)と、厳しい声が過半数を占めている。『サービス』は一部健闘しているが、『製造』『卸売』『小売』などに苦戦が目立つ。

・景気DI

「新潟」の景気DIは、前月比0.6ポイント減の38.4。前月は回復の兆し(0.5ポイント増の39.0と5カ月ぶりに改善)があったが、自律反発にとどまり今月は反落した。都道府県別の順位は第44位(前月41位)に悪化、北陸4県中でもっとも低い。昨秋以降、38~39台の膠着状態を抜け出せていない。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.3ポイント増の41.7と僅かに改善。一方、「中小企業」は同0.8ポイント減の37.9と悪化した。「うち小規模」企業は35.9で前月比変わらず。大企業と中小企業の規模間格差は3.8(前月2.7)に拡大した。ただ、「大企業」の1年後は47.8と先行きには改善の見通しを示している。

・業界別DI

『運輸・倉庫』が前月比2.3ポイント減の35.2と2カ月連続の大幅な悪化。『製造』は同1.4ポイント減の29.0となり、絶対水準は最も低い。そのほか、『小売』も同1.6ポイント減の37.3と3カ月ぶりに悪化した。一方、『不動産』は同8.4ポイント増の41.7と大幅な改善。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が40.6(前月41.2)、「6カ月後」が41.9(同43.7)、「1年後」が43.2(同44.4)と3指標いずれも悪化。先行きの見通しにおいても「富山」「石川」「福井」や「北陸」「全国」の平均を下回る状況が続いている。

■富山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.4

-2

前月から悪化、一進一退

・概況

「富山」の景気DIは前月比2.0ポイント減の41.4に悪化し、全国順位は29位と前月の15位から後退した。「北陸」は富山の悪化が影響し40.6と前月41.0から若干低下した。全国DI43.5との格差は再び拡がった。「震災復興需要が続く」(サービス)「引き合い増加」(機械製造)などの声が聞かれた一方、「原材料高」(化学品製造)「身近で倒産発生」(旅館)などの声もあった。富山の景気DIは一進一退が続くなど先行きに対する不透明感は強まっており、状況を注意深く見守って行く必要がある。

・景気DI

「富山」の景気DIは、41.4と前月比2.0ポイント悪化となった。石川、福井は小幅ながら改善した一方、新潟は若干悪化し、「北陸」のDIは前月比0.4ポイント減の40.6となった。全国は前月同様のDI43.5となり足踏みが続いた。「富山」の都道府県別順位は前月の15位から29位へと後退した。

・規模別DI

「大企業」(47.6)は前月比2.4ポイント減、「中小企業」(39.7)は同2.2ポイント減、「小規模企業」(35.2)は同0.4ポイント減と、全ての規模で悪化した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は7.9ポイント(前月8.1ポイント)と依然として大きい結果となった。

・業界別DI

10業界中、前月比改善は『農・林・水産』『不動産』『製造』の3業界にとどまった。一方、同悪化は『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界となった。特に『建設』『サービス』の悪化が目立ったうえ、景気判断の分かれ目となるDI50を上回ったのは『金融』の1業界のみであった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(当月比2.6ポイント増)、「6カ月後」(同4.1ポイント増)、「1年後」(同6.2ポイント増)と、先に行くほど改善する見通しとなった。業界別では、「建設」「卸売」は先行きに対する不安感が払拭できない結果となった。一方、『製造』『小売』『サービス』は改善への期待感が窺えた。

■石川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.7

0.8

5カ月ぶりに改善も、直近1年では2番目に低い水準

・概況

「石川」の景気DIは、前月比0.8ポイント改善の44.7となった。5カ月ぶりの改善となったものの直近1年では2番目に低い水準。能登半島地震による復興特需の恩恵を受ける業界と同震災による顧客減少に苦しむ業界などまだら模様の様相が続いている。インバウンド需要は継続している反面、長引く物価高騰の影響や人材難などの経営課題に加え、米国トランプ関税による世界経済の先行き不透明感を不安視する声もあり、引き続き県内の景気動向には注意が必要であろう。

・景気DI

「石川」の3月の景気DIは、前月比0.8ポイント改善の44.7となった。5カ月ぶりに改善に転じたものの、直近1年間では2番目に低い水準に留まっている。都道府県別順位は震災直後の影響が残っていた前年同月よりも改善し9位(前年同月13位)となり、前月の10位より1つ前進した。

・規模別DI

「大企業」のDIは前月から4.2ポイント改善し54.2、「中小企業」は5カ月ぶりの改善で42.3(前月42.2)となった。また、小規模事業者は3カ月連続の改善で42.1となった。各規模のDIは改善した一方、大企業の改善に比べて中小企業の改善幅は小さく、両者の格差は11.9(前月7.8)まで拡大した。

・業界別DI

8業界のうち5業界で改善ないしは横ばい、3業界で悪化した。『運輸・倉庫』は3カ月連続の後退で、労働者不足の影響も聞かれた。2カ月連続の後退となった『卸売』でも人材不足を危惧する声が聞かれた。一方、先月まで大きく低迷していた『製造』と『小売』で改善がみられた。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIでは「3カ月後」は4カ月連続の後退となり、スピーディな景気回復への期待感は弱含みの状態が続いている。また、「6カ月後」「1年後」は改善が見られたものの、トランプ関税など米国の影響による世界経済の先行きを不安視する声もみられた。

■福井県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.1

0.2

2カ月連続改善

・概況

2月は観光産業を筆頭に多くの業界が閑散期であったが、3月は年度末を控え、物流や工事受注が回復したうえ、北陸新幹線開業1周年イベントが各地で開催された。インバウンドを含め旅行客が増え人流が回復したうえ、2月の反動も景況感を押し上げた要因であろう。企業からは「欧州等の景気減速で在庫調整が続き受注減」(製造)の一方、「販売価格を高くでき総合的に良い」(飲食料品卸)等の声が聞かれる。春を控え人流や物流が高まり、景況感は緩やかに回復するだろう。

・景気DI

「福井」の景気DI(41.1)は前月比0.2ポイント増と2カ月連続で改善。業界別に見ると『運輸・倉庫』が全業界で最大の上げ幅を記録したほか、『建設』『不動産』が大きく改善。規模別では大企業が大きく改善し全体を牽引。県別順位は30位(前月33位)。

・規模別DI

「大企業」49.0(前月比5.5ポイント増)、「中小企業」39.7(同0.6ポイント減)、「小規模企業」43.3(同2.4ポイント増)。「大企業」は昨年11月と同値で4カ月ぶりに改善し過去1年間の最高値と並ぶ。「中小企業」は唯一40を下回り、企業間格差は過去1年間で最大の乖離を示した。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中3業界が改善、2業界が横ばい、3業界が悪化。『運輸・倉庫』が全業界で最大の上げ幅(12.5ポイント増)を示したほか、『建設』46.9、『不動産』50.0が大きく改善。要因は年度末を控え物流や工事受注が回復したうえ、3月の降雪量の少なさが工事進捗に寄与したことであろう。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.6、「6カ月後」42.5、「1年後」42.5。6カ月後までは改善、以降は横ばいとみているが、3指標のいずれも北陸3県で最もDI値は低い。昨年5月以降DI30台が続く『製造』においても、6カ月後には40台に回復するとみている。

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